白ねこ書店員 大福さん
4.大福はコリオスさんといる⑤

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 帰りに大福へのクリスマスプレゼントを買い、正面玄関前のコリオスさんを見上げていると斎さんがやってきた。 「よかった、まだ帰ってなくて」 「どうしましたか?」 「明後日の出勤のときに渡そうと思ってたんだけど、今日のうちの方がいいから」  斎さんはクリーム色のトートバックからクリスマスカラーの包みを取り出した。 「これ、ペットショップの宇佐美さんにおすすめしてもらったの。大福さんが好きそうだって。どうかしら」  開けるようにうながされて、そっとテープを開けた。大福が好きなカリカリシリーズの新フレーバーと、おもちゃのネズミが入っている。 「ありがとうございます。僕もさっき買いに行ったんだけど、これは気づかなかったなあ」 「それとこっちは白河くんに見てほしくて」  大福用の大きな包みとは別に、小さなビニール袋を手渡してくれた。斎さんの手は冷たいのに胸が熱くなる。 「大福……」  ビニールの中にはアイシングクッキーが入っていた。目を細めた白いクッキーのねこが僕を見ている。 「すごいでしょう、大福さんにそっくりなの」 「じつは僕も……」  リュックから包みを取り出して斎さんに渡した。同じビニールの袋にはブラウンタビーのペルシャねこクッキーが入っている。 「あずきだわ! 私が買いに行ったときはなかったんだけど……」 「僕が行ったときも白ねこはなかったんですが、これは宇佐美さんが出してくれて」 「私も宇佐美さんに……」  あっそうか、宇佐美さんの仕業かと気づくと、斎さんも思い当たったような顔をして笑った。 「じゃあ大福さんは白河くんに」 「あずきさんは斎さんに」  寒空の下でねこのクッキーを交換した。思わぬクリスマスプレゼントに、涙腺がゆるんでしまう。  最後にプレゼントをもらったのはいつだろう。母さんが生きていた、大学二年の頃だったかな。  コリオスさんの銅像に優しく雪が降り始める。大福は朝からシャンプーをされて、まだふて寝をしているだろうか。子ねこたちは暖かいおうちで清水くんの帰りを待っているだろうか。  ありがとう、コリオスさん。またいつか会えるかな。  心の中でつぶやきながら、斎さんと並んで歩いていった。

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