異世界へ/To another world
予期せぬ出来事
芽亜利は、現在――自分の置かれている状況が把握できなかった。 たしかに理解不能だ。 ――母親は? ――父親は? つい先ほどまで、両親とは同じ空間にいたはずなのに……。 時空が歪んでしまったのか? 自分だけがタイムスリップしたのか? 何かの拍子に異次元、否、異世界へと迷い込んでしまったのか? まったく予期せぬ出来事が起きてしまった。 誕生日に両親から買ってもらった、麦わら帽子に赤いワンピース―― 服装はそのままだ。 恐る恐る辺りを見渡す。 ゆがんだ世界が広がる。 両親を探す。 やはり、何処にも見当たらない。 ――お母さんは何処? ――お父さんは何処? 不安と恐怖で、涙が溢れ出る。 両親に会いたい。 ――ママァ-! ――パパァ-! ピンポンパンポーン! 「お客様ならびに従業員に迷子さまのお尋ねをいたします。ただいま麦わら帽子をかぶり赤いワンピースをお召しになった三歳くらいのメアリちゃんというお名前の女の子を、お連れさまがお探しです。お気づきのお客様ならびに従業員は、一階、サービスカウンターへお知らせくださいませ。ご協力よろしくお願いいたします……」 <了>
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