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坂ノ上卓 木ノ下泉は自分の似顔絵に満足そうな顔をして帰っていった。 「これは部屋に飾っておくよ」 そう言って持って帰った。 描いてる時緊張したけど良い絵が描けて良かった。 少しして姉の真亜子が帰ってきた。 「お母さんから聞いたよ。女の子連れてきたって?やるじゃん!」 「似顔絵描いてあげたんだ」 「ふうん。うまく描けたの?」 「まあね。彼女喜んでた」 「好きなのその子?そうでしょ?」 「お友達だよ」 「そーう?」 と、姉は笑って聞いた。 木ノ下泉 私は彼が描いてくれた絵を額に入れて飾った。本当は涙が出るくらい嬉しかった。思えばその時私は彼に恋していたのかも。 だって私のためにあれだけ真剣に描いてくれたんだよ。嬉しいに決まってる。明日も彼と学校で話したいな。 次の日学校に行って昼休みに待っていても彼は来なかった。クラスの人に聞いたら風邪をひいて休んだとのこと。私は落ち込むほどがっかりした。 でも次の日彼は来た。 「風邪はもう大丈夫?」 「うん。ニコニコして嬉しそうだな」 「坂ノ上くん心配してたから」 「そうか」 「バイト休みの日うち来ない?」 「土曜が休みだ。行っていいかな?」 「来なよ。プレゼントがある」 「プレゼント?何だろう?」 「内緒。当日楽しみにしてて」 そう言うと彼ははにかむように笑った。 土曜日、彼が家に来ると私はプレゼントを渡した。 「これ!私が一生懸命描いたんだよ!」 それは坂ノ上くんの似顔絵だった。 「なかなか上手だよ。しかも記憶力で描いてる。大したもんだ」 「へへへ」 「ありがとう。これは部屋に大事に飾っとくよ」 彼は私の下手な絵をとても喜んでくれた。彼は良い人だな。私は益々彼のことが好きになっていった。彼は私のことをどう思っているのだろう。 恋の疼きとでも言おうか。私の身体にそんな現象が起き始めた。 「はあ!卓くん!」 夢の中で叫んで私は目が覚めた。 「はあはあはあ……」 私は完全に彼に恋していた。 坂ノ上卓 僕は壁に飾った自分の似顔絵を眺めていた。素人ながら一生懸命描いた絵に僕は心打たれた。 「木ノ下…」 なんて可愛いやつなんだ。僕は彼女がその場に居たら抱き締めたかった。 それが叶わないので、その日はベッドの上で彼女を思いながら自慰をした。 その次の日も自慰をした。自分の中では彼女に対する思いは止まらなくなっていた。 僕は彼女のスマートフォンに電話した。 「泉が好きだ。恋人になってくれ」 電話の向こうの泉は「はい」と返事した。