ハテナナハナシ
〇〇学校 文化祭 講演会 録音音声 本文

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(舞台袖の左右から男性が1人ずつ現れ、中央に立てられたマイクの後ろに並ぶ。尚、外見的特徴は一切筆記しない) (左の者から口を開く) 「はいどうもこんにちは」 「こんにちは」 「本日は遠い所からわざわざお越しいただきありがとうございます」 「違うだろ。俺たちが遠くからわざわざ来てやったんだろう」 「図々しいなお前!(講堂内の各地から笑い声) 学校だってみんな近所から通っているわけじゃないでしょう」 「でも、俺たちの方が遠いもん。ここを出た時にも田舎だと思ったけど、あれ以来初めて帰ってくるとえらい田舎だな」 「子供かよ。失礼過ぎるだろ。まあ、でも、自分たちがこうやって主賓として母校に招かれるなんて夢にも思わなかったな」 「俺たちなんてサボってっか寝てばっかだったのにな」 「折角話を良い方に持っていこうとしたのに、余計なことすんなよ。まっ、さっさと本題に入りましょうか」 「本題?」 「あなたが言ったんでしょう。子供から宿題を聞かれたけど答えられなかったから、ちょっと知恵を付けて欲しいって」 「ああ、あれは済んだから平気だよ」 「済んだ?」 「なんでなんでって聞かれてばかりで面倒くさいから、家からほっぽり出しちゃったから」 「ひでえ親だな」 「そう?」 「大きくなったらこんな親になっちゃいけませんよ、皆さん。決めた、今日は少し君にいろんなことを教えてあげるよ。それをやることがこの場に相応しいからね」 「何を偉そうに。ここに居るガキらで子供持てるやつなんか何人居るんだよ!」 「いちいち五月蝿え奴だな! 偉そうなのはどっちだ。ていうか、お前さ、そういう癖に、どれだけ常識とか世間とか知ってるんだよ」 「俺には自信がある。学校なんかじゃ本当のことを学べねぇんだ。世の中で俺は学んだんだ」 「粋がりな不良か。まあ、いいや。じゃ、まずは簡単なテストから」 「テストなんかで」 「ああ、もう! それ以上言うな。いいから始めんぞ」 「一思いにやってくれ」 「一思いって。まずは、ここの場所を仰ってください」 「[黒塗り]」 「はい、正解です。次は学校で一番偉い人は?」 (右の者、腕組みをしながら頭をひねる) 「どうしたの?」 「本来なら校長先生かもしれないが、よそから移ってきたばかりの校長先生よりも、ここでずっと働いている用務員のおじさんおばさんの方が学校について遥かに詳しい。それに、何かスキャンダルがあったら、すぐに校長先生も教頭先生も雲隠れしてしまうから、そんな人は果たして偉いのだろうか。そもそも、そんな問題が出てきたらもみ消しを図ろうとするから、そんな人は偉くもなんともない。とすれば、学校で一番偉いのはやっぱり子どもたちじゃないのか」 「どうしてそんな複雑なの。それに、校長先生や教頭先生だって良い人いっぱい居ますから、そうですよね?」(左の者、会場に呼びかける) 「おい、反応がないじゃないか。やっぱりこの学校は」 「いや、そういうわけじゃないでしょ。はいそうですと素直に言うと寧ろ怪しまれるからですよ。次は学校には必ずある、分からない言葉の意味や知らないことを調べるために使う本とはなんでしょう?」 「そんな本があるのか? なんたらレコードって奴、まさか学校に置かれるほど普及しているとは」 「そんなトンデモなものじゃないです。まさか知らないわけないでしょ、辞書とか図鑑とか」 「あんなもの。分かった気になっている奴らが寄ってたかったって、何が新しく分かるというんだ。古い偏見を改めて植え付けるだけのものじゃないか」 「でも、新しいことを考えるにはその前の段階の知識や前提を知らないといけないでしょ」 「それと偏見の違いは何なんだよ」 「あのねえ。いいや、次だ次だ。この国の元首をお願いします」 「元首って何だ? 酒か」 「アルコールじゃないよ。学校で酒の銘柄答えさせるわけないでしょう。分かりやすく言うと、この国の一番偉い人」 「ああ、それならさっきより簡単だ。ミカドだ」 「みかど?」 「そう、ミカドだ。知らないのか?」 「いや、その」 「おいおい知らないのか。じゃあ、聞け。ミカドというのは脚があたまから2本、むねから8本、はらから2本出ているんだ」 「はい?」 「それがレールの上を走りまくってんだ」 「ちょっと待て。それは機関車じゃ」 「そうとも言うな」 「そうとも言うじゃねぇよ! あんた、時代が時代なら殺されてますよ。今でもおいそれと変なこと言っちゃいけません、まったく。一体、機関車のどこがこの国で一番偉いんですか」 「俺が考えるに、偉いの条件は3つある。1つ目は専用の道を持っている、2つ目は国のことを知っている、3つ目はシンプルにみんなが顔を知っている。これに反論はないか?」 「とりあえず話を聞きましょうかね」 「この国にはレールが張り巡らされているな。現に今でも剥がしたと思ったら別の場所に新しく敷き直しているという話だ」 「話というか、それが国の方針ですからね」 「レールは機関車とその他しか走れないな。つまり偉い条件の1つ目、他の連中が通れない専用の道が設えられているには当てはまるな」 「レールはそういうものですからね」 「さっきも言ったけど、国中にレールが敷かれている。そこを走る機関車は国の津々浦々を見ている。条件2つ目の国のことを知っているにも当てはまるな」 「見ているのは運転している人じゃないの?」 「えー、次だ」(右の者、画用紙とペンを左の者に手渡す) 「おいおい無視かよ」 「それについてはちょっと後にしたい。それで、ちょっと機関車を描いてみろ」 「機関車を? えーっ、ちょっと待って下さいねー(左の者、観客に一瞥をくれながら、絵を描き始める)」 「こいつが描いている間に聞いてみよう。この国で一番偉いのは誰か、知っている人、手を挙げて」 (一斉に手が挙がる) 「おお。みんな知ってるのか。じゃ、そこの青い服を着ている、うん、君。誰だと思う?」 『[黒塗り]』 「それは一般的な答えだな。いや、それで一応正しいとは俺も思う。ここは教育機関で、用意された正解を言う場だからな。テストなら100点だろう。ちなみにその[黒塗り]とやらは、どんな職業なのかは分かるかい?」 『[黒塗り]』 「元気があってよろしい。そうだ。君にもこの画用紙をプレゼントだ。この子に渡してあげて(右の者、進行係の者に画用紙を渡し、指された者の所まで渡すように頼む)。君にも機関車の絵を描いてほしいけど、いいかな?」 『いいよ~』 「出来たら教えてね。さて、隣の分からず屋はどうかな?(右の者、左の者が描く絵を覗き込む)」 「分からず屋じゃねえよ! ちゃんとお前の珍説に付き合ってやってるじゃないか」 「うん、まあまあの出来だな。美術の成績は良かったもんな。ところで、お前もこの国で一番偉いのは[黒塗り]と思ってる口か?」 「寧ろ違うと言い出すお前にびっくりだわ。しかも人ですらないし」 「じゃあさ、その[黒塗り]とやらは描けるか?」 「えっ、描けなくもないけど……」 「おっ、凄いな。でも、どれくらい掛かる? この機関車の絵と同じ時間で描けるか?」 「いや、それは無理だよ。それに自信がないよ」 『描けました!』 「おっ、早いねえ。急なお願いに答えてくれてありがとね。それじゃ、二人が書いた絵を一緒に見せよう。いっせーの!」 (両者、画用紙を表に返す) 「うん、どっちも黒塗りで煙突から煙を吐きながら、丸い顔にライトが付いている。どっちも機関車だな」 「機関車ってこういうものでしょ? ね、君もそう思うよね」 (指された者、頷く) 「ほら、今お前が証明したよ。3つ目の条件、みんなが顔を知っている。つまり、有名ということだ。お前だけじゃなくて、あの子も知っている」 「それはそうだけど」 「絵を描いてくれた君、[黒塗り]の絵は描ける?」 『顔は知っているけど、描けません!』 「この通りだ。だから、機関車は偉いんだよ。[黒塗り]なんかよりも」 「いや、おかしいぜ。第一、機関車は人じゃないって。元首って国で一番偉い、人なんだよ」 「[黒塗り]は人なのか?」 「人だろう」 「みんなが顔を描けるわけでもないのに?」 「でも、写真とかそういうのを見ればみんな分かるよ」 「そいつ、動いているのか?」 「赤絨毯の上を歩いている映像はよく見るよ」 「そいつは国中を見ているのか?」 「時々、どこかを視察している映像は見たことあるよ」 「ふーん。そうか。俺がさっき言った条件は不完全だけど満たしているのか」 「そうだよ。それに、機関車はものを考えられないよ」 「果たしてそうだろうか。[黒塗り]にしても、本当にものを[黒塗り]ているのか疑わしいぞ」 「何言ってんの、お前。人は[黒塗り]葦であるとか[黒塗り]・エルゴー・スムとか昔の人は言ったように、[黒塗り]ない人なんて居ませんよ」 「その[黒塗り]は自分の頭で[黒塗り]必要があるのか? 誰かの言いなりでいいんじゃないのか」 「様々な情報や意見と自分の意志があると思いますよ。俺にはそれが何なのかちっとも分からないけど」 「そいつはただのマリオネットだとしたら? 誰かが設えたシステム上の存在だったら、それは果たして[黒塗り]ているのか?」 「随分怖いこと言うな。でも、それは俺たちには分からないよ」 「じゃあ、実際に動いている[黒塗り]を見たことがある奴が居るのか? そんな人形、居ても居なくても同じだろ」 「うわあ」 「なんでそんな目で見るんだ?」 「かわいそうだなって」 「かわいそう……」 (右の者、俯いたまま座り込む) 「ごめん、言い過ぎたよ。でも、なんでそんな[黒塗り]を思いついたの。誰かの入れ知恵?」 「近所の橋の下に住んでいる人から聞いた」 「お前付き合いの範囲広いな! どうしてそんな人の言うこと信じたの」 「その人、昔はどこかの研究所に勤めていたんだけど、いろいろあってこうなっちゃったって言ってた」 「それは分かったけど、もしかしてその人って、アレなの?」 「アレじゃねぇよ! 俺から見たことしか言えないけど、正気だったよ。後、別にその人が機関車が偉いって直接言ったわけじゃないんだ」 「ん? どういうこと?」 「俺だってちゃんと分かったわけじゃないし、その人も難しい話で自分でも疑う部分ばかりということなんだけど、俺が[黒塗り]に、役割とか関係の話なんだと思う」 「ごめん、ますます分からないんだけど」 「乱暴に言うと、全て逆なんだよ。主人と奴隷の話は知ってるか?」 「[黒塗り]だな。それは確か、主人は奴隷にいろんなことをやらせるけど、自分は何もしない。すると、奴隷の方が力もあるし、だんだん[黒塗り]いく一方で、主人は適当なことばっかりやっていて力も[黒塗り]もなくなる。つまり、立場と実際が逆さまになってしまう話でいいんだよな」 「うん。ある哲学者はそれが更に進むと、奴隷が主人を打倒することになると[黒塗り]たわけだ。まあ、結局は主人を倒した奴隷も主人と同じになってしまうわけだけど、その話はいいや。さっき言った逆転の話を俺たちの生活に当てはめてみよう。まずはこの学校だ」 「学校?」 「さっき聞いただろ。学校で一番偉いのは誰かって。まんまこの話だ。果たして校長先生は偉いのかという疑問に行き着く。でもこれには単純な答えはない。今度は大人と子供の関係に当てはめてみると、本来学校は大人が子供を教育する場所だけど、子供が居なくなれば学校にも用はないし、先生は失業だ。すると、学校を成立させているのは子供たちの存在になる。目的が存在条件になってしまっている。とすれば、一番偉いのは本来教育を受けるはずの子供たちになるわけだ」 「さっきお前がそう答えたのはそういうわけね」 「今度はこの国で一番偉い奴をお前が聞いてきたけど、同じような理屈で簡単には答えが出ない。とはいっても、一番偉いのは国民というチープな回答もなしだ」 「チープって。それじゃ、学校で一番偉いは子供たちというのもチープじゃないのかよ」 「学校という場所は先生と用務員と子供ぐらいしか居ないからだよ。PTAとかはなし」 「それは認める。あれまで入れるとややこしくなるからな。あと、あれは学校の外にある」 「でも、国となるといっぱい居すぎだ。それに、国民が一番という退屈な答えだったら、ここに居る子供たち寝ちゃうでしょ」 「もう寝てるんじゃないか? 訳分かんない話してるから(両者、会場を見渡す)。まだ、大丈夫そうだな」 (ガタガタと大きな音がすると、ミシミシと会場が揺れ、埃がちらつく) 「建物が大丈夫そうじゃないな。でかい地響きだ。工事でもこの辺りでやってるのか。それとも、ここがとんでもない安普請かのどっちかだ。安普請なら、誰が金を持ち逃げしたのか?」 「持ち逃げなんか起きてないわ! 俺たちがいる時から建て替えられてないから古くなっただけだ」 「そんなことだろうな。久し振りに帰ってみれば、この周りだけボロボロだったからな。街は随分様変わりしたのに、ここだけはそのままだ。ともかく続きだ。ここで、一番偉いとされる[黒塗り]が国の発展のためにという目的で作られるものに注目してみる。鉄道を俺は挙げたけど、目的のもとに作られるものなら本当はなんでもいい」 「なんでもいいなら、なんで鉄道なんだよ」 「目立つし、分かりやすいし、みんな知っているものだから」 「みんな知っているって、そういやお前さっき言ってたな」 「知らないものが一番偉いと言っても納得しないからな。鉄道みたいなインフラがあるおかげで社会が発展してみんなが便利に生活できるのに疑問はない?」 「ないと不便だからな」 「だけど、鉄道が出来たおかげで会社勤めや通勤が生まれたんだ。社会を便利にするためのものが社会の形を変えたわけだ」 「……ははあ。お前が言いたいのはそれか。社会のための道具から、道具のための社会になったと言いたいんだな?」 「道具は社会のあり方を変えたという意味では合ってる」 「だったら、電子機器とかそういうものの方が賢いんじゃないか?」 「知能は関係ないし、最終的には電子機器は主人の忠実な下僕でしかない。ついでに言うと、反逆はありえない。あのおじさんも言ってた」 「だけどさ、映画で見たぜ。そういう奴」 「電子機器はせいぜい主人を選ぶだけだ。どれくらい使えるか使えないかで、人を社会の中でのランク付けをする計測器でしかない。お前が持ってるソレ、半年経つけど、使いこなせてる?」 「未だに何も分からない。あっ、電池切れてた」 「こういうわけだ。つまり俺がさっき送った原稿も見てないからお前は狼狽えている」 「お前、書けたの? 生まれてはじめてじゃないか、それ。早く言えよ」 「母校に呼ばれたから特別だ。いいだろ、たまには」 「与太話含めて俺は呆れてるよ」 「次だ。なんで機関車かだ。それはお前の絵が証明している。」 「これが?」 「ああ。俺は機関車を描いてほしいとは言った。でも、蒸気機関車とは言ってない。でも、お前も子供もそれを描いた。こんな機関車、保存目的じゃなければ走ってない。でも、機関車というと、電気や軽油じゃなくて石炭で走るのを描く。[黒塗り]の顔を描くことは出来なくても」 「寧ろ、電気機関車とか描けねぇよ」 「もう機関車というものがそれだけ言葉本来の意味から離れて、象徴化しているのさ。それだけ俺たちのイメージに浸透しているんだ。こんなものほど偉いものはないよ。あれには顔があるんだ」 「顔というか形じゃないのかね」 「まあ、同じだろう。逆に言えばお前の中には[黒塗り]の顔がないんだ。それに比べれば大した違いはない」 「うーん。でもさ、機関車が思考しているとは思えないし、動かしているのは運転手だし、周りも見ているのもその人達じゃないの?」 「じゃあ、本題に移ろう」 「本題?」 「あのおじさんもこれを強調していた。でも、おじさん自身も疑ってはいたけどな。それは、思考の中心は構造なんだと」 「どういう意味だよ」 「構造が組み上げられた時点で、構造の方が主人なんだが、それに加えて、構造自体の思考に俺たちは生かされているだけなんだ」 「ますます分かんねぇ。構造が思考するって何だよ」 「ある物質が特別な構造を持った時、それは思考する能力を持つ可能性がある、とおじさんは教えてくれた」 「特別な構造?」 「例えば、特定の小さなゆらぎを持った骨格なんだそうだ。俺たちの意識も細胞1つ1つに入っている小さな骨格から生じているらしい。それをこの環境に当てはめると、骨格を成しているものはなんだ? レールは全体に対しては小さいけど伸び縮みするし、電線にしたってそうだ。道路は車が通る度に振動している」 「ちょっとそれは飛躍しすぎじゃないか」 「けれど、地球全体を1つの宇宙船とか地球環境とみなしているじゃないか。偉そうな連中が世界を1つにまとめられさえもしないくせに。そんなものよりはずっとささやかだろう」 「すると、レールも電線もアスファルトもそれらが組み上がると、意識を持つなんてことがあるのか?」 「当てはめてみるとそうなる……んじゃないかな」 「でも、うさんくさいな、それ」 「確かにそうだ。でも、この[黒塗り]から言えるのは、俺たちの生活や行動は原因じゃない。何らかの結果でしかないんだ。周りの環境や内部の構造によって生じる現象でしかないんだ。ついでだが、さっき機関車が動かしているのは運転手とお前は言ったが、機関車が純粋な工業製品なら、調子の良し悪しが何故出るんだ。寧ろ、運転手は機関車をなんとか宥めながら御していると見るのが自然だろう。機関車は乗り手を知覚している。ともすれば、周りさえ見えている。内部に構造を持っているからじゃないだろうか。じゃあ、偉いのはどっちになる? 別に人である必要はもうないな」 「だとすると、どうなるんだ?」 「別になんともしない。俺たちに環境の思考を感じることや、有無を確かめる方法がないんだからな」 「ええ? 何にもないのかよ」 「それに加えて、自分たちの[黒塗り]や行動とかそういうものは周りや内部によってただ生じるだけから、まったく特別なものじゃないんだぜ? だから、環境が組み上がった時点で全て終わっているんだよ、もう」 「それを聞いた上で子供たちはどうすればいいんだよ。このままじゃ本当に身も蓋もない話で終わるぞ」 「何もしなくていいんだよ。そのまま生活するだけだ。ただ生かされているだけと気づいたからって何が出来るわけでもない。生まれた時から構造に依存しているんだから。おじさんの最後の言葉を借りれば、このおかしな[黒塗り]を持った集合が一斉に発生した時にどうなるかだな。そうすれば、自分たちを決定づけようとする要素が溢れているなかで、1つだけ、自分たちのものになる要素が突如増える。環境にとっては、これは大きな変動だ。その時に何が起こるかを期待と恐怖で待ちわびればいい。何も起らなければ安堵して忘れればいいし、何か起きればバンザイだ」 「学校を疑い、こんな珍奇な説を心に留めろとは、自分勝手過ぎてやんなっちゃうわ。この場に相応しくないたらありゃしない」 「いいだろ、場が勝手に全てやってくれるさ」 「あと、言いたいことがあるんだけど、良いか?」 「なんだ?」 「俺たちはどうするんだ?」 「どうでもいいんじゃない? ほら」 「ははは。お前の言う通りだ。静かだなと思ったらこうだもんな。どこからやってきたのかは知らないけど、電線が這いずり回ったり、車や電車がめり込んで、みんなまとめてドンガラガッシャンだ。まるで乱痴気騒ぎみたいだな。カラフルだ」 「おい、いつの間に屋根がなくなって、空まで見えている。この学校という構造はもう用なしだ。面白いもんだな、ははは」 「母校もなくなれば、俺たちも用済みというわけだ」 「何やら大きな鉄の塊が落ちてきているな。いや、新しい構造だな。俺たちはもはやこれまでだ」 「それじゃ、もう誰も居ないけど」 「「どうもありがとうございました」」

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