銀治と赤坂一樹は同じ高校出身で、学部は違うが同じ大学、同じサークルに所属している。地方の田舎出身の二人は高校時代から仲が、人間性や性格は違うがなぜか馬が合い良く、だから、たまたま住んでいるアパートが同じ最寄り駅のある地域なので、お互いのアパートによく集まって駄弁っている。今日もそんな感じのありふれた日々の一つでしかない日だったはずだった。今日の深夜、銀治が告白されたりしなけらば。 「それでも、やっぱお前すごいな」 「何が?」 一樹がひとしきり笑い終わった後、二人は携帯ゲーム機で、某有名ハンティングゲームで遊び始めていた。そして、一狩りしながら惰性で駄弁り続けていた。携帯ゲーム機の画面では赤いドラゴンが空を飛びながら、周囲に炎のブレスを巻き散らかし、一樹のキャラが燃えて吹っ飛んでいる。 「顔。顔だけが理由で告白されたんだろ? 俺もお前イケメンだと思ってバンドのボーカルに誘ったけど、ルックスだけで告白する猛者でたとか、大概だな」 「…褒められても、俺からしたら反応困んだよ。ほい、粉塵飲んだから、回復しとけ」 「OK。ヒャッハー、神風アタックっ!」 そんな感じで遊びながら、銀治は軽く溜息をついた。 銀治と一樹の二人は大学の軽音サークル、つまり、ロック系の音楽サークルに所属している。一樹は高校生の頃から、プロのミュージシャンになると息巻いており、銀治は大学でどのサークルに入ろうか迷っていた。そうしたら顔がいいからバンドのボーカルをやれと誘われて、別に断る理由もないから入って、なあなあでインディーズだが、ライブハウスでライブをやったりして、現在大学2年生である。はっきりいって、バンドの活動状況は鳴かず飛ばずで趣味のお遊びレベルである。でも、楽しいからいいかとなんとなく活動を続けているが、サークルの先輩などが就職活動をしたりして、このままでいいのかと思ったりしている。 「しゃあっ! しっぽ斬った!」 夢とか息巻いている一樹もこんな感じなので、本当に今後どうしよう。そう思いながら、銀治は、ゲーム敵を捕獲するために罠を置いたりしながら、また、溜息をついた。
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