君の顔が好きだ。
私を倒しても、第二、第三の魔王が…。 1
とある大学の教室のゼミの集まりで。彼女のいない女子大生のリア充への、踏み出すべき第一歩は合コンだ。大学のゼミの友人は鳴海奏にそう熱弁した。命短し恋せよ乙女という。別に嫌いではないが、奏の大学の友人たちは恋愛脳だ。常に彼氏を求めている。
奏といえば、ステキな彼氏は欲しくないわけではないが、ガツガツと合コンという戦場に何度も繰り出してまで、彼氏が欲しいとは思っていない。今は恋愛より、バンド活動の方が興味があるし、情熱を向けれる。
しかし、バンド活動以外も人生だ。そこには様々な人間関係が繰り広げられる。だから、別に彼氏が欲しいわけではなくても、付き合いで合コンに参加するのはやぶさかではないが…。
「私が男のメンツそろえるの?」
うんざりしながら、奏はそう溜息と共につぶやいた。それに、今回の合コンの要望を出した大学の友人の知坂紀子は力強くうなずきながら、熱弁を続ける。
「この大学の有力なフリーの男子とは合コンをし尽くした。…当たりが全然いねーわ、この大学。奏、バンド活動で他大学やら、大学以外の男性にツテあるでしょ? 頼むわ! 大学外が希望なのよ!」
そう力強く紀子は語る。いや、確かに大学外に知り合いの男たちはいるが…。
「私の大学外の知り合い、売れないバンドマンばっかで、正直将来事故物件化しそうな男ばっかだよ? それでいいの?」
「ああ、大層な御託さっき並べたけど、大学生の恋愛なんて高校生と変わらないから。付き合い始めても、地雷だって判断したら、ソッコー別れる。付き合う=結婚じゃないから。だから、現在、売れてなくても、大学時代の彼氏レベルだったら問題ない。…つーか、もしかしたら宝くじが当たったみたいに、大人気になるかもでしょ? 私、宝くじは毎年買うんだ!」
頭痛がしてきた。まあ、これも大学生活を円満に過ごすためだし、あいつら紹介しても、多分、紀子たちは付き合わんだろう…。だって、ボーカルはまだしも、他メンバーはバンド仲間からしても、お察しな奴らだ。
「はあ…、とりあえず了解。フリーのバンドメンバーとかに声かけとくから。女子の人選お願いね?」
「やったー、ありがとう! とりあえず、夕とかに声かけとくよ!」
付き合いも大変だ…。大喜びする大学の友人を見ながら、内心溜息をつきながら、奏はそう思った。
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