「好きです。付き合ってもらいますっ!」 「はい?」 唐突に初対面の女の子にそう宣言された。立花銀治はよって、面喰ってしまい、阿呆みたいに口を開けて立ち尽くした。 場所はバイト先のコンビニのレジで。いつも通りの、深夜帯シフトで。よって、最寄り駅の最終電車が通り過ぎた深夜。夜勤シフトの最初のレジのピーク、終電組の客のラッシュがひと段落し、本日発売の週刊漫画誌などを並べていたら、一人の客が来て。そして、業務的にあいさつをして、雑務をこなしていたら、客がレジに来たので応対でレジ業務。 そしてら、初対面の女性客に突然告白された。 「………」 銀治は無言で周囲を見渡した。別に、ドッキリカメラ的な人たちやコンビニ店員をからかってやろうとふざけてる酔っぱらい集団も見えない。そして、視線を目の前の女の子に向ける。 女性客は無言だが、ステキな笑顔でニコニコとこちらを見つめてきている。うーん…、リアリー? 「あの…、酔っぱらってふざけてます?」 「いいえ、ふざけてませんし、酔っぱらってませんよ?」 「えー…」 ふざけてないし、酔っぱらってないのに初対面で告白ですか? ネジ飛んでやがる…。 「ええと…。俺が失礼にも忘れてただけで会ったことありますか?」 「いえ、初対面だと思いますよ? 記憶通りです」 だったら、アンタマジデネジトンデマスヨ? 「あの…、なんで初対面で告白されたか聞いていいっすか?」 銀治は頭のネジが飛んだ危ないヤツかもしれない告白女を内心引きながらそう聞いた。そうすると彼女は嬉しそうに、ぶっちゃけ好みな、ステキな笑顔を浮かべてこう宣言した。 「顔。顔が今まで会った人間で一番好み。つまり…、君の顔が好きだ‼」 「斉藤和義じゃねーかっ‼」 そんな感じで、俺、立花銀治は、初対面で告白してくるぶっとんだ女、森川 夕と出会った。
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