「はい、じゃあ、おつかれー。かんぱ~い」 駅近のラーメン屋に間延びした声が響く。そして、その声を合図に銀治たちはビールの入ったジョッキグラスを合わせ乾杯した。銀治は一口飲んでグラスから唇を離したが、他のメンバーは一気にあおり飲み切った。その様子に思わず苦笑する。 ついさっき、銀治と一樹たち、バンドメンバーはライブハウスでライブをしてきた。そして、今はその打ち上げでラーメン屋に来ている。ライブの後にこのラーメン屋に来て打ち上げをするのは、もはや恒例行事で、あり意味銀治にとって日常の風景だ。まあ、それは観客が閑古鳥でガラガラなのも毎度のことというこことなのだが…。 「いや~、やっぱライブ後の一杯は格別だな」 「お前はいつ飲んでも格別だろうが。たまに昼間から酒飲んでるダメ人間が」 「うまいのが悪いんだ、酒が」 「もうだめだコイツ。早くなんとかしないと」 バンドメンバーの二人、ドラムの男性、田宮 竜一と紅一点の女性ベース、鳴海 奏がとんこつラーメンをすすりながら、そう軽口を叩く。そんな軽口の応酬も毎度のことだ。二人はSNSを通して知り合った銀治と一樹とは違う他大学の学生だ。竜一は一学年上の三年生。奏は一学年下の一年生で年上と年下。竜一は、もう三年なので就活を開始しなけらばならないので、そのうち辞めさせてもらうと、ぶっちゃけ言われている。だが、バンド活動は楽しいからとだらだら続けてくれている。なのでそのうち、バンドの活動を続けるなら抜ける竜一の代わりのドラムのメンバーを探したりしなければいけない。そんな感じで客がついていない以外にもバンドの活動には問題が生じているのだが…。 「お前ら、夫婦漫才みたいだぞ? くっついちゃえば?」 「「ねーよ」」 バンドのリーダーの一樹はそんなことを言って笑っている。他メンバーもそんな感じ。まったく前途洋々とはいえない活動状況である。どうしたものか…。銀治はそう思いながら、ラーメンをすすった。毎度食べる通り変わらない味だ。そう、あの人がバイトしていた頃から変わらない味。 「………」 「…お前なんか思い詰めてない? 告白された影響か?」 ラーメンを食べながら考えていると、一樹が呆れながらそう聞いてきた。銀治は思わずむせてせき込んだ。
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