君の顔が好きだ。
未知との遭遇(?)
「チャラララッラタッター。立花銀治はレベルが上がった。運命の彼女を手に入れた」
「いきなり、何言ってんのアンタ…」
コンビニの深夜勤は、だいたい夜の10時から早朝の翌日の6時までだ。のんべんだらり出勤し、レジ業務をしていると、突如突然告白女-森川夕とエンカウント。そして、いきなり冒頭の言葉をのたまった。うーん、ド〇クエのネタかなんかか…?
「いや、運命の出会いという経験をすることにより、人生経験という経験値を得て銀ちゃんはレベルが上がったのです。よかったね、レベルが上がったから彼女ができたよ! この幸せ者!」
「…俺の中でアンタ電波女としての位置づけが強固になってるが?」
「私は布団スマキで歩き回りませんよ?」
「アンタ、ふざけんのがデフォなの…?」
「はっ、まさかエ〇オたんみたいに私が美少女と言いたいと? 照れますね~」
「うん、マジで宇宙人としゃべってんのか! 誰か翻訳こん〇ゃくプリーズ!」
なんかのマンガかなんかのネタっぽいが俺にはよくわかりません。助けて。
「まあ、ご挨拶の悪ふざけはこのくらいで…」
「よかった! やっぱり悪ふざけだよね!」
本当に頭のネジ飛んでんだったらどうしようと思った‼
「ナイスつっこみでしたよ。相性ピッタリですね、私たち」
「…あの、悪いけど俺、他に好きな人いるから。冗談じゃない本気の告白でもお断りさせてもらうから」
意を決して銀治はそう宣言した。まあ、正直、顔はこの森川夕という女の子好みだけど…。他に好きな人いなくても人間性的にご遠慮したい感じである。君子危うきに近寄らずとか言うしね?
「…その人とは今交際中ですか?」
「……片思いです」
「…なら問題ない」
「へ?」
「大丈夫だ、問題ない」
「…なんでいちいちネタに走んの?」
しかも微妙にネタ古いし…。
「惚れさせます」
「…はい?」
森川夕はそういうと銀治の上着の襟首、つまり胸倉をつかみ顔を近づけるとニッコリと微笑んで、こう言った。店内ではBGM替わりの店内放送が流れている。銀治はすぐそばで夕の顔をまじまじと見ることになり二人はしばらく見つめあった。つけまつげではない長いまつ毛。そして、澄んだこげ茶色の瞳。思わず、銀治は…。
「これから私が私に惚れさせて見せます。だから…」
何も問題ない。そう言って森川夕は手を離した。そしてから、コンビニの出入り口に向かい手を振りながらこう言った。
「今日はとりあえず帰ります。じゃあ…」
覚悟しておいてください。そう言って彼女は帰っていった。一人残された銀治は阿呆のように呆けていた。だって、思わず…。
「見惚れてしまった…」
銀治は溜息をついた。そして、軽く自分の頬を叩き首をふりコンビニの仕事にとりかかった。今は何か作業をして気を紛らわしたい。
森川夕と立花銀治の2回目の遭遇はそんな感じで終わって、そして、二人の関係は、お話はこんな感じに始まった
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