この国にも嫌気がさして、国外逃亡を企てた時も一緒だった。
「ロンドンでの最初の夜を覚えているかい?」
僕の語学力が全くダメなことを思い知らされたよ。
多少は自信もあったのさ。
中学から大学まであれ程勉強したんだもの。
ホテルでもバーでも自信満々のジェームズ・ボンド気取りさ。
でも全然通じやしないんだ。
絶望的な僕の語学力。
笑っちゃうよ。
挙句は、身振り手振りを炸裂させて……
しどろもどろで泣きたくなった。
そしたら、君はすかさず助け舟を出してくれたね。
あの時は君に脱帽さ。
「また、旅に出ようよ」