君を恋ふ
5
両親は既にいない。 妹だけが僕の家族なんだ。 身を寄せ合うように生きてきた。 その妹が入院して…… あんなに元気だった妹が、病に倒れるなんて。 僕は面会も許されずに、 ──妹は…… ──妹は…… ──最愛の妹が…… ──たったひとりの僕の肉親が…… 「火葬されて戻って来たんだよ!」 突然の仕打ちに、僕は茫然自失だった。 ひとりっきりで旅立った妹。 看取ってやることもできなかったんだ。 小さくなった遺骨を胸に抱き締めて泣いたよ。 涙は留まることを知らなかった。 未来を絶たれた妹を思うと、 ──悔しくて……悔しくて…… ──情けなくて……情けなくて…… この怒りと悲しみと憎しみ。 何処にぶつけたらいいのさ。 「神も仏も無いじゃないか!」 「もうひとりぼっちは御免だよ!」
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