青の時代
11最終話

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ある日、キャンパスで絹子を見かけた。彼女はひとりでベンチに座っていた。 僕は彼女のところに行った。 「やあ」 「やあ」 「元気?」 「うん」 彼女は遠くを見つめるかのように僕の顔を見た。 「今どうしてるの?」 「池田三和子と付き合っている」 「あの子、うちに入学したのね」 「僕のお陰でね」 「先生が今は彼氏か」 「うん」 「メイは?」 「別れた」 「そう」 「君には今でも悪かったと思ってる。僕は変わったんだ」 「池田さんと恋に落ちて?」 「そう。取り返しのつかないことはしたけど、今度は失敗しない」 「……」 「君はひとり?」 「うんそうよ」 「……」 「ひとりでいいけど」 「恋はしないの?」 「今のところ相手がいないわ。無理して作る気もないし。友人がいるからいいのよ」 そう言って彼女は微笑んだ。 やはり彼女には申し訳なく思っており、ずっと気にはなっていた。 でも、彼女は心配ないだろう。その笑顔でそう感じた。 「じゃあ、行くよ」 「うん」 僕はその場を去った。 それからはもう二度と彼女の姿を見ることはなかった。 「青春の~光~!」 呑気に僕の隣でそう呟く三和子。君のキャンパスライフは始まったばかりだ。 僕もまだまだここにいる。 僕らは校門を出て向き合った。 「どこに行こうか?」 「どこでも」 「六本木ヒルズは?」 「いいね。展望台?」 「そこから東京みたいね」 「なら行こう」 それから3年経った。僕は大学を卒業した。就職先は小さな会社。そこへ入社できた。 「本日よりお世話になります。楢橋大地です。全力で働きますのでよろしくおねがいします!」 入社初日はまずまずの働きぶり。ここならやっていけそうだ。 「ただいま」 「おかえり」 「ご飯できてる?」 「お風呂も沸いてるよ」 妻の三和子が出迎えてくれた。僕らは在学中に結婚した。彼女は4年生。就職活動中だが、早めに内定をもらった。だから今は専業主婦。いつも僕の帰りを待っている。 「ともりさんから電話あったよ」 「なんだって?」 「同窓会やるって」 「マジか?」 「行くか聞いといてだって」 「はは…どうするかな?」 「不人気ランキング1位」 「うるさい!」 青春の懐かしい日々。僕も幼いときがあったんだな。 「熱っ!」 「どうした?」 「やけどしちゃった」 「どれどれ」 彼女の指を水道の水で冷やしてやり薬を塗ってやった。 「ありがとう。ご飯もうすぐできるから」 「うん」 僕は着替えに寝室に行った。 我が青春の~光~!

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