言の葉はせせらぎのように
激突! 惣菜対決!!

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 ここはとあるスーパーの惣菜売り場。  昼下がりになると、商品が所狭しと並べられる。  トルティーヤ、生春巻き、ポテトサラダ、卵焼き、とんかつ、コロッケ、ひじき煮……などなど、種類は豊富だ。大多数が休日となる日曜日や祝日となると、輪をかけて種類が豊富となる。 漂う芳しい香りに腹の音がなった者達が、まるで花の香りに誘われた蝶々のように、そこへわらわらと寄り集まってくる。  彼等は客に手にとってもらえるのを今か今かと待ち構えているのだ。  ⚔ ⚔ ⚔ 「よお。誰かと思うたら焼き鳥、あんたか。えらい久し振りやなぁ。何日振りや?」 「おう、唐揚げ。久し振りもなんも、毎日会っとるやんか。昨日振りやん」 「今日も会うたなら早速勝負や。昨日はあんたが勝ったからな。今日はわいが勝ったるでぇ」 「……また? どちらが良く売れるか競争やろ? まあ、良かけど。お前さんよう飽きんねぇ」 「そらあんた、ここのコーナー名物の王者の座を狙う為や」 「狙ってどげんすると?」 「王座になればわいの仲間がぎょうさん売れる。わいは超売れっ子になりたいんや」 「分かった。じゃあ今日もうちの勝ちや」 「なんでやねん!」 「だって、程よい焦げ目と醤油の輝き、絡められたタレによる照りが食慾ぐっとをそそるやろ。噛むと炭の香ばしさと醤油の風味がマッチして得も言われぬ良い香りが鼻と口腔を喜ばせる。柔らかい肉から溢れ出る肉汁とタレの甘味と辛味が絶妙な味わいを生み、癖になる。何串でも止まらんくなる。あと普通に食べても良かけど、ご飯に乗せれば焼き鳥丼の完成や。夕飯の献立が一品楽ばい」 「わてかて負けてへん。高温の油でからりと揚げられた黄金の皮はパリッと香ばしい。噛みしめるとじゅわ~っと旨い肉汁が口の中に広がる。食べ応えのある食感によって、満足感が得られる。冷めても旨いし、上からタルタルソースと甘酢ダレをかければ子供が大好き、チキン南蛮モドキの出来上がりや。食べ応えも抜群やでぇ」 「炭火の香りはそれだけでご馳走だ。残念ながら唐揚げにはこの“どこか燻製のような香り”はないからなぁ」 「お! あのお二人さん。手ぇ繋いでるからきっとカップルや。お! 二人ともこっちを覗いてるがな。近付いてくる! チャンス到来や。 おーい! わいはこちや! もっとこっちに手ぇ伸ばしてぇな!!」 「うちはこっちだ。トースターで焼き直せば炙りたての味わいだ。ビールのつまみにも良か良か! 何串でもいける」 「わてかて、つまみに向いてるさかい、こっちこっち!! そのままお弁当のおかずにもなるでぇ!!」  ⚔ ⚔ ⚔ 「どうしようかなぁ。唐揚げにしようか、焼き鳥にしようか……ユミ、迷っちゃうなぁ」 「ここのはどっちも美味しいから迷うよな」 「ねぇマサト、どっちにする?」 「ん〜……迷うけど……今日は寒いからおでんにしよっか」 「賛成〜」  恋人同士二人は惣菜売り場を離れ、おでんブースへさっさと歩いていった。

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