S <また、恋をする>
第22話「なんとおじいちゃんの最初の恋の相手です」

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「どれどれ?」  楽しそうに、曲がり角から顔を出す心魅このみさん。 「オォ。木造りだ」 【プラネタリアン】を見ての感想。  それは心魅さんの言うように木造りで、ログハウス――と言うよりツリーハウスを地上に降ろした感じの建物だ。 「ジツはおじいちゃんとそのお仲間の手作り」 「すごいねそれ」  ちょっとした自慢の種である。  一軒家ほど大きくないとは言え、喫茶店と天文台一つ手作りする。それがどれだけ大変な作業だったか。好きだからこそできるわざ、と言う感じだろうか。  そんなことを考えながらオレたちは揃って喫茶店の前まで行き―― 「どうする? 目的はおじいちゃんの居住スペースだけど。そうなると裏側なんだよね」 「時間があるなら喫茶店の方覗いてみたいな」  好奇心に目を輝かせながら。 「良いかい一夜いちや」 『ええ構わないわ。  ゆるりとお茶して行きなさいな』 「ん、ありがとう。  それじゃ」  一夜の了承も得られたところで。 「喫茶店の方から入ろうか」 「うん」  木製のドア――これも手作りだ――を押して喫茶店の中へ。外からの風に吹かれて季節外れの風鈴が一つ鳴いた。 「いらっしゃい。  あ、心覇このはかい。女連れとは珍しい」 「いやらしい表情になってますよ、乃子のこさん……」  苦笑を返す、オレ。  からかいの目線をオレに向けるのはおじいちゃんのあとを継いでここの店長さん――マスターになったおばあさん、乃子さんだ。 「なんとおじいちゃんの最初の恋の相手です」 「わぉ」  と言いつつとても嬉しそうな表情になる心魅さん。恋バナが好きらしい。 「オイオイ心覇。  その言い方だとワシとあいつが一時でも付き合っていたみたいじゃないかい」 「え? 違うんですか?」 「違うんだよお嬢さん。  フッた相手さ」  どこか自慢げに笑いながら。 「でもずっと一緒にいたんですか?」 「いたんだよ。  強引に友だちにしてやった」  やはりどこか自慢げに。  初恋の人にフラれて大往生するまで友だちで居続ける――難しそうだなそれ。オレ、やれる自信ない。  苦笑するオレとは対照的に心魅さんは「ほぇ~」とか言って感心しているが。 「それよりさっさとどっか座りな二人とも。  喫茶店で立ち話はおかしいだろう」 「あ、はい」 「おじゃましま~す」  意気揚々と進む心魅さん。彼女はなんの躊躇いもなくカウンター席に座ってオレを手招きする。……うきうきしているな、恋バナ続ける気満々だ。 「なににするね?」 「うんと甘いコーヒーを」 「はいよ。心覇はママのミルクだね?」 「なんでですか。オレもコーヒーで」  普通のミルクならまだともかくママのて。 「心覇くん……飲んでいるの?」 「飲むか」  からかってくる人が二人に増えた。厄介な。

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