S <また、恋をする>
第26話「ここで、心覇くんとわたしが暮らす為です」

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「ふぅん。  それで一緒にお風呂に入って一緒のお布団で寝たと」 「はい……」  全て話してしまった。  話さなければ殺される勢いだったからしようがない。決してオレがビビりなわけではない。ない、うん、ないはず。 「背を向け合っていたとは言え、一緒のお風呂……」 『因みに桶ではなく同じ浴槽よ。桶は石鹸やらで汚れている可能性があったから』  ちょおと黙っててもらえます? 『普通なら溺れるのでしょうけれど私には羽があるのだもの。溺れないわ』  少しばかり浮いてみせる、一夜いちや。ドヤ顔である。 「やっぱりどうあってもこのお家を心覇このはくんのお家に持っていくべきだね!」 『そうね』 「いやだから持っていけたとしても置くスペースがだね」  ないんだよ。部屋全部埋まっているし。  オレの部屋に――もムリだ。このお家、大きすぎる。 「どこか規模を縮小するなら――なんとか」 『それはダメよ』 「どうして?」 『このお家は愛情をもって建てられたのよ?  削るなんて失礼だししたくないわ』  ……感心した。思わず。  一夜は人の気持ちを大切にする。大切にできる子だ。 「……ちなみに、一夜、ここには――このおじいさんのお家にはベッド二つある?」  と、これは心魅このみさんの問いかけ。  オレと一夜はそれに頭を捻って。  ? ベッドがこの状況になんの関係が? 『泊まることになったお客さん用に一部屋あるけれど、どうして?』 「それはもちろん、心覇くんとわたしの為です」 「? どう言う……?」 「ここで、心覇くんとわたしが暮らす為です」  ……なるほど。運ぶのがムリならここに住んでしまえと。  盲点であった。それならなんの問題もない。 「――ってなりませんよ⁉」  問題大ありですが!  オレだけならまだしもどうして心魅さんが? 「え? だっていきなり一人暮らししろって言われても困るでしょう?」 「困るけど」  掃除はまあ良い、なんとかなる。  一人で起きれもするだろう。  問題があるとするなら料理、つまり食事だ。  オレができる品なんてたかが知れている。とてもではないがメインにはおけない。どこかで買ってきて食べれば良いだろうか? 最近のコンビニはメニューが豊富だから可能だろう。幸い歩いていける距離にあるし。ただそうなると出費が心配だ。親に出させるのはしのびないし、小遣いとバイトでなんとか……。 「大丈夫。料理はわたしがメインでするから心覇くんは最初見学と手伝い。ゆっくりと一緒に作れるようになれば良いよ」  優しいな心魅さん。  でも、だ。 「それ同棲――同居が前提条件だよね?」 「そうですがなにか?」 「心魅さんが良くても御両親が納得しないでしょ?」 「説得するよ。  なによりここで住むことを提案しておきながら心覇くんに全部任せるなんてできないよ。  丸投げ、ダメ」  口の前で指を二本クロスさせる。バッテンマークを作ったのだ。めっちゃ可愛い。や、可愛いとか思っている場合じゃなくて。 「学校にバレたら大ごとに――」 「隠し通します」 『良いじゃない心覇。力強い援軍だわ』  ……こちらの心境わかっていますか一夜お嬢さん? 『もし心覇が心魅を襲ったら月華げっかが鎮圧すれば良いのだし』 『うむ、心得た』  怖いなそれ。 『いざとなったら私も力を使って心魅を護るわ』  オレを信頼しているのかしていないのかどっちなんだろうこの子は……。  ……ん? 力?

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