出会うために、僕らはわかれるのかもしれない。
嘘はついてない。
朝になり、会社に向かう通勤快速の中で、近いうち飲もう、と恭子に連絡した。しかし会社に着いても返信がなかったので、もしかして昨日のアレは社交辞令か、その場のノリ程度だったのかと落ち込んだ。 仕事が生きがいというわけでもなく、家に帰ってもあの嫁さんが寝ているだけ。可愛いはずの娘も昨日のアレでなんだか他人のような気がしてしまって、いけないことと分かっていてもつい恭子のことを考えてしまう。 そんな鬱々とした気分でただ機械のように仕事をこなす時間も、家にいる時間よりマシだと思う僕は、自分で思っているより末期なのかもしれないとも、ふと、考える。 「お」 恭子からのメールに、文字通り、心が躍った。来週あたりと言っていたのに今夜とは、体まで踊りだしそうなくらいだ。はやいうちに嫁さんにILNEしなければ。 {ごめん、今日は遅くなる) {どうしたの?) {プチ同窓会なんだ。地元のやつが戻ってきたって) {そっか、あんまり飲み過ぎないでね) {わかった) うん、嘘はついてないぞ。
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