その頭を抱えるようにして、ハルがユカを自分に引き寄せる。そして宥めるようにユカの背中から腰を撫でる。 「自分で、やった?」 首も、肩も、傷痕も。ハルの唇の通る場所が、ハルの指先が触れる場所が、熱くなる。 「ち、がう」 ただの怪我だと言おうと思うのに、言葉が出ない。指先に触れるハルの胸から、ハルの鼓動が伝わってくる。 ハルの鼓動が聞きたくて、ハルの胸に顔を埋めた。伝わってくる微かな振動を感じたくて、ハルの胸に耳を押し付ける。ハルはユカの肩を押さえつけ、味わうようにゆっくりと、傷を舐めている。 「じゃ、誰?」 ハルはもう、ユカを傷つけたのが誰か知っていて、わざと言わせようとしている。そんな気がした。あの時のことを思い出して怖くなって、ユカの身体がぶるぶると震えだす。力の入らない手で、ハルの髪を握る。なにかにしがみ付いていないと、壊れてしまいそうだった。あんまり、怖くて。 「ハル、……黙って」 もう、声にするのが追いつかない。 「なんで? ちゃんと答えろよ」 それでもハルは、問うことをやめない。 身体の奥や傷痕が、ざわざわする。背中を滑り落ちる、ぞくぞくとした感覚は、けれど熱くて、息を殺してハルの手や舌の動きを追いかけた。それすらもう、追いつけなくなったとき、ハルの指がユカの中に入ってきて、喉の奥から猫の鳴き声のような声が漏れた。 「……言って……」 艶めいて落とされるハルの声に、従いたいと思うのに、どうすれば普通に呼吸できるのか思い出せなくて、ユカが唇を噛む。息を吐くたびに、全身が心臓になったみたいに熱く脈打って、手も足もばらばらに感じて、うまく動かせているのかわからない。ハルの指が自分の中で動くたびに、喉から声が漏れるのを堪え切れなくて、唇が切れてしまいそうだった。 速い呼吸を繰り返すユカの中から、指先が抜かれ、一気に貫かれる。
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