作品に栞をはさむには、
ログイン または 会員登録 をする必要があります。

 孤児院を見て回る。けっこう広いし、子供達も自由にお勉強したり遊んだりしてる。もっと暗くてジメジメしてるんやったら、騙しやすいのに……。うーん、でも、ジメジメしてたらわるーい精気っぽい気がするやの。すぐ死んでまいそう。  聖堂は綺麗に飾り付けされてた。神父様がおる教会よりは質素やけど、これはこれで派手なんかも。赤い絨毯もひいてあるし。  神父様が昼のお祈りをしてた。夏樹様の腰についてる時計を見る。午後0時ぴったりやった。ほんまに決まった時間にしてるんや。……遅刻させたらどうなるんかな。邪魔したらどうなるんかな。  あかんの。考えただけでブルブル震えてしまう。きっとツノを掴まれてポイッてされるか、尻尾を思いっきり引っ張られるやの。こわいこわいやの。 「夏樹様は祈らなくてええの?」 「あ、やっべ!」  ……ダメンズエクソシストやの。肩に乗ってるはずのおはるさんが夏樹様の頬を引っ張てるんやと思う。びよーんって伸びてる。 「どういったところかわかりましたか?」 「うん。わかったやの。色んなことが。うふふ」 「何か面白いことありました?」 「あなたの名前、小焼って聞いたやの」  今が魅了チャームの使いどころやの!  名前を呼びながら、腕にくっついて、胸を押し当てる。完璧な布陣やの。これで、ウチにメロメロなはず! 「暑苦しいから離れてください。歩きづらい」 「ふぇ?」  効いてない……? うそ……? 名前も呼んだのに? もっと呼んでみる? 上目遣いでぎゅうっと押し当てながら。 「小焼様」 「……水饅頭が食べたいですね。夏樹、どうせお前が私の名前を教えたんでしょう。買ってこい」 「わりぃわりぃ。てっきり知ってるもんだと思ってさぁ。アイダダダダ! おはるさん、痛いってぇ!」 「ああ、いつものピクシー連れてるんですね」  片手でツノを掴んで、ウチを腕から引き剥がした。うぅ、ひどいやの。痛いやの。魅了が効いてへんっておかしいやの!  あれ? 小焼様におはるさんの姿は見えてへんみたい。夏樹様の肩の近くを手がウロウロしてる。触ったところが悪かったんか、眉間に皺を寄せてる。指捻られたみたい。 「おまえ、サキュバスは見えるのにピクシーは見えねぇんだな?」 「あれが見えるだけで、他にサキュバスを見たことないですよ」 「えー? おまえの母ちゃんサーー」 「夏樹」 「……おう。水饅頭買ってきたら良いんだろ? 行ってくるよ」  夏樹様は何か言いかけたみたいやけど……、何やったんやろ?  どうやら水饅頭を買いに行くようで、早歩きで出て行ったの。廊下を走るなって怒られたからやと思う。  怪獣の鳴き声のような音が小焼様のお腹から聞こえる。ぐごぉおおおおって地響きのような音やの。そんなにお腹の動きが活発なんもすごいやの。 「なんだか貴女の近くにいると腹がすぐ減るんですよね……」 「ウチは食べ物やないの。でも、性的になら食べてええの。どうぞ」 「擦りつかないでください」 「ふふふ。小焼様って童貞やの? 自信が無いん? ウチの下で喘ぐの恥ずかしいん? 大丈夫。天国見せてあげるやの」 「聖堂でよくそんな汚らわしいこと言えますね」  ツノを掴まれてポイッてされたやの。ひどいやの。全く効かへん。こんな人間初めてやの。こんなに大サービスしてあげてるのに、全く見向きもせぇへん。普通ならおっぱい揉むくらいするのに。 「あ! もしかして、男のほうが好きやの?」 「違いますよ。私は貴女のようなむちむちした太腿の女がタイプです」  ……やっぱり効いてるやの? ただの性癖を暴露されただけな気もしてきたやの。  神父様は食堂に向かうようやから、ウチはその後ろをぽてぽてついていった。

応援コメント
0 / 500

コメントはまだありません