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 騒ぎが落ち着いたら、教会に戻ってきた。  ダメンズエクソシストは神父様に説教されてたし、聖書の角でどつかれてたやの。角でどついたら痛いと思うんやけど、ざまあみろやの。ウチの正体をバラした罰やの!  町から急患がおるからって呼ばれて逃げるように走って行ってたやの。おはるさんがテキトーな人間にイタズラしたんかも。ダメンズエクソシストがどつかれてて可哀想やから、助けようと思って。  そんなわけで、神父様と教会で二人っきりやの。ステンドグラスがキラキラして綺麗やの。夕方の教会は光の射し加減が綺麗で、うっとりしてしまいそうなくらいやった。ウチが磨いたからますます良い感じに見えてるんやと思う。 「神父様。さっき言うたことはほんまやの?」 「嘘は言ってませんが」 「それなら、ウチを神父様のお嫁さんにしてくれるやの?」 「私は司祭なので、お前を妻にすることはできませんよ」 「それを言うたら、さっきの言葉は嘘になるやの。嘘つきの神父様やの。言いふらしてきてやるやの」 「はぁ……。サキュバスでも町の人に受け入れられたからって、調子に乗るんじゃないですよ。お前は悪魔なんですから、旅人が町に来た時に退治されるかもしれません」 「その時は、神父様が護ってやの。ウチ、戦闘向きの悪魔やないやの」 「ジョブチェンジできないんですか」 「ジョブチェンジできたら、討伐対象に入りそうやの」 「それもそうですね」  神父様は納得した様子やった。ウチは何をしても戦闘向きにはならへんやの。サキュバスとして生まれてるんやから、サキュバスのままやの。戦闘なんてできへん。できるのは、メロメロにすること。士気を下げることはできるかもしれへんけど……、ちょっと違うやの。 「それよりも、ウチ、この服脱ぎたいやの。修道女の服は苦しいやの。もうバレてるんやから、隠す必要は何もないんやの。ウチ、サキュバスのままでいたいやの」 「靴下が左右違うことが気になってしまうし、腹が冷えそうだと思います。それと、むちむちの太腿に挟まってみたいと思います。とにもかくにも、その服は着たままでいてください。お前の素晴らしい腹と太腿を他人に見せるのは勿体ないですし、靴下の柄が揃っていないことも気になりますし」 「これはオシャレやの!」  同じことを二回も言われたやの。大事なことやから二回言われたんやの? 靴下の柄が違うことは大事なことやの? 神父様はどれだけ靴下の柄を揃えて欲しいんやの。絶対、女性の下着はブラジャーとショーツがお揃いやないと許されへんタイプやの。きっとそうやの。そんなことは今どうでもええやの!  町の人に認められたから、ウチは普通に過ごしても良いはずやの。サキュバスってわかってるんやから、わざわざ隠すようなこともせんでええの。幻術もかけ続ける必要ないやの。どう見えてもええの。神父様がウチを見てたらええんやから。 「小焼様。ウチ、小焼様のこと好きやの」 「それを言ってどうするんですか? 『私も好きですよ』と甘い言葉でも期待してますか? ご期待に沿えず申し訳ございません。」 「た、ただの意思表示やの」  急に恥ずかしくなってきたやの。こういう人やってわかってんのに。サキュバスを照れさせるなんて恐ろしい神父様やの。 「……しかしながら、今日はよく働いてくれているので、ご褒美を用意してあげないといけませんね」  舌なめずりをする神父様はゾクゾクするくらいにセクシーやった。ウチ、きゅんきゅんしてもうてる。サキュバスを魅了するなんて、この神父様を野放しにしてて大丈夫やの? ここに来た魔物がみんな魅了された末に木っ端微塵にされてるって考えたら怖すぎるやの。猟奇的すぎるやの。でも、ウチは大丈夫なはずやの。 「今夜は、特別な牛乳を使ってホットミルクを用意しましょう。お前が初めてうちに忍び込んで盗んだものと同じ種類の牛乳です」 「うん。ウチ、ご褒美待ってるやの」  ウチ、ホットミルクをあなたと飲むの楽しみやの。  完飲

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