夢のお知らせ
真偉の夢占い・噂1

作品に栞をはさむには、
ログイン または 会員登録 をする必要があります。

 真偉の住む家の庭には、紅白の梅、桜、松、ライラック、また、東の隅には藤棚も設えてある。    4月の半ば、祖父は庭の冬囲いを、全て外した。   日本庭園よろしく石を置いたり、小さな池を作ったりしたかったらしいが、一年の半分近くは寒冷で、諦めたとか。       板塀だったものを、祖父母が札幌で住むようになり、ブロック塀にして、200坪程の庭も、整備したとか。      何本かある姿の良い松、桜と梅は祖母が残してほしいと願い、ライラックは紫の花を付ける方を残し、藤棚は祖父の手製、祖父は藤の花に思い入れがあるらしく、あとは綺麗に整地して、良質の寒冷地に強い芝生した。     結果的にそれは正解で、すっきりとした、手入れも楽な庭になったはず。    4月末になると、梅と桜が同時に開花する。  花見に家族で出掛ける風習のない家だったけれど、花好きの祖母はその季節になると、自分の部屋から、居間から、キッチンの窓から、庭を眺めている。      桜は元々、原生していたらしく、樹齢も相当なものと思われる幹の太さで、枝ぶりも見事で景偉は、なんて、きれいな!! と、つい声をあげてしまう。     真偉は、濃いピンク色の梅の花を好み、サンダルをつっかけて庭に出て、木に寄り添い、いい匂い、、と花の匂いを楽しむ。  フルーティーで桜の花とは全く違う、かぐわしさを小さな頃から好いていた。 そろそろ、札幌の街にも桜の話題が出始める頃、真偉は母から、鬱屈してしまう話を聞く。    〈小さな美少女の夢占いが当たる〉   〈不動産屋さんにいるらしい〉   〈高校生みたいだけど、すごい当たるって!〉       噂は怖い。火のないところに煙は立たないと言うが、噂は拡散するうちに、実体から大きく離れて変容する。 人の口から口へ。  少しずつ、その人なりの主観が入り、言葉がプラスされたり、削除されたり。    母の会社には問い合わせの電話が鳴りっぱなしで。   週に3回、祖母は母の会社に顔を出す、それは重役として、頭を老けさせない為に少しでも娘の手伝いをする為など、いろいろあるようだが、 76才にしては元気いっぱいの祖母は家でじっとしていられないのだろうが、その祖母も、電話の応対で喉が涸れたと言い。    ニュージーランドから兄が買ってきた、マヌカハニーをお湯に溶かして飲んでいて。     真偉は、自分が悪い訳でもないが、申し訳なく。   たかちゃんが、友達に事の顛末を話した事で、噂が拡散したのだろうけれど、夕食を食べていると、たかちゃんがご主人と一緒に謝罪に訪れ。       何やら、だんだん、大げさになっていき。 兄や父でも居てくれると、何か解決法もあったのかもしれないが、測量会社に勤める兄は中国北部に出張中、昨年退職した父は四国遍路に出掛けて留守、、頼みの祖父は腕を組み無言で怒りを抑えている様子で。  母も祖母も、祖父の怒りが爆発するのを避けたくヒヤヒヤしている。              🥀   

応援コメント
0 / 500

コメントはまだありません