夢のお知らせ
真偉の夢占い・哀しみの出口2

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ところで、夢占い。 おかしなことになってきて。 祖母の景偉が持ってきた話で。 知人の人からの依頼とか。 昭和の時代からある古い病院で。現在は、三代目とその息子さんの二人で経営している、内科と心療内科の病院からの依頼。 記憶喪失の若い男性が入院していて、毎日のように、夜明け近くにうなされている。 本人は恐い夢を 見たと言い。 びっしょりと、汗をかいている。 夢判断が出来るのならばお願いしたい。 非科学的な事を、信用しないであろう医師からの依頼で。 祖母は、その古い病院の二代目の奥さんと仲良しらしく。 いつも、水曜日の午後2時に、母が経営している不動産会社の応接室で行っていた夢占いを、祖父と一緒に、その古い石造りの病院で行うことに。 真偉は、祖父と地下鉄に乗り、祖父の隣に座り、 「おじいちゃん、、出張するみたいね…………」 「うん、、そうか、、ボランティア出張だな、、それにしても、人の口に戸を立てられないとは、本当だな、、真偉、無理しなくていいんだぞ、」 「はい、大丈夫です。 おじいちゃんと一緒だから、 安心! あのね、、帰りには大通りで降りて、、ジェラード、食べたい、、いいでしょう!」 病室には、親子の二人の医師も同席していた。 真偉は、何回か夢についての相談を、それまで面識の無かった初対面の人から受け付け、、真摯に対応してきて、少し、世の中の厳しさも知り、人間の弱さや、人間の際限のない欲も知って、、なぜか、自信が出てきていた。  世の中は、いろいろな人がいる。 いろいろな人がいて、自分は特におかしな人間でもない、少なくとも、今まで、ひた隠しにしてきた自分の不思議な能力は、人の役にも立てるということが嬉しかったから。  その青年は、青白い顔をしているけれど、体つきは、兄のように頑健そうだった。 大通り公園に倒れていたところ、通学途中だった女子高生が警察に一報し、保護されたとか。  名前すら覚えていない。 背中に背負っていたリュックからパスポートが出てきて、写真は本人と一致していたが、本人は首を振るばかりで。 パスポートの住所は、札幌市内になっていて、警察で彼の写真を持って、そのマンションに行ってみたところ、3年前に解約されていた。 近所に聞いてまわると、何人かの人が、見たことがあると言い、しかし、話した事がある人はいなかった。 きっと、若い独身の男、近所付き合いなどはなかったのであろうが。 本籍地は埼玉で、そちらも調べたが、その住所に血縁者すらいなかったらしい。 パスポートが本人のものであれば、 31才になるはずらしい。 大通り公園で倒れていた際には、外傷などはなく、精密検査をしても、病気なども、みつからなかったらしい。 「どのような夢を見ますか? 話してもらえますか? こちらに入院してからの事は、記憶にあるのですね。」 「はい、、。 追われている夢です。 ライオンに。 銃を持った兵隊に。 ワニだったことも。 血の付いたナイフを持った、外人かな? 人です……………」 「恐くて、目が覚めるのでしょうか?」 「はい、そうじゃないかな? 恐い、逃げなければ、という感覚は目が覚めても残っています。」 真偉は、すっかり見えていた。 この人は殺されそうになり、必死の思いで日本に、札幌に戻って、真夜中、バイクにはねられて。 外傷も無く、意識があったこの人は、大丈夫ですかと顔を覗く、バイクを運転していた男に、大丈夫、行って下さいと告げている。 面倒に巻きこまれたくなかったのだろう。 フランスで国籍不明のグループに追われ、逃げてきた。恐怖心が強かった。 撥ね飛ばされ、オロオロ歩き、公園のベンチに座ろうと、、そして、倒れた。 ベンチの後ろ側で。 女子高生は、よく気付いたものだ。 鍛えられた体。一種の脳震盪だろうが、彼は、そこで、記憶を失ってしまう。 多くの屈強な男達と銃を持ち、野を山を走っている姿が見える。 外人部隊に志願したのかもしれない。 この人は、体は鍛えられているが、心が優しい、怖がりやの傾向がありそう。 自分の理想と、心が一致しないのだろう。 脱け出そうとして、捕まった。 真偉は、どのように言ったらよいのか、目を閉じて、考える。 傷付けてはならない。 善意での行動が、この人を苦しめたのだ、人間は自分の道、自分に合う道をみつける事は難しいのだろう。 「あなたは、バイクに跳ばされた。 鍛えられた体ですから、運転していた人に、起き上がり、大丈夫ですと言い、しばらく歩いて、公園のベンチの後ろで倒れたのですね。 フランスに行ってましたね。」 「フランス? フランス? バイク、、」 彼は苦しそうに頭を抱える。 忘れてしまいたかった事々。 記憶喪失になりたかったはず。 その方が楽のように思うが。 しかし、思い出してしまったら、出口をみつけなければ、生きていかなければ。 「思い出しましたね。 苦しいかもしれませんが。あなたは、何ひとつ、悪い事はしていません。 生きて下さい。 ご両親も心配されています。」 彼は、深く、深く、頷いた。 🥀🥀🥀

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