リョウカタオモイ
Ⅳ
そして独り身のまま迎えた二回目の死から数年、ぼくはお察しの通り転生した。 転生、葬儀、転生、葬儀、転生、葬儀という無限ループ。 最早呪いとも言えるレベルだろう。 転生への驚きは呆れに変わり、人生相談を受ける回数が増えた。 そうして生きてきた転生先の人生は、毎度身分も国も全く別のものだったが、 ぼくの記憶違いでなければ一つだけ共通点があった。 それは「彼女」に会うこと。 ぼくのアプローチの仕方でその回数や時間は変わるが、全ての人生必ず一回は「彼女」に会っていた。 ただの偶然かもしれないが、 こうして何度も転生を繰り返し、一回目の人生を含め記憶はかなり断片的なものになっていても「彼女」についての記憶は色褪せることがない。 それはきっと、その記憶に対する感情の強さが関係しているのだろう。 この転生も、そこに起因するものがあるのかもしれない。 そういえば、何度目の人生か忘れたが、 一度、新しい関係で彼女とそれなりに仲良くなった時、ふたりで話をしたことがある。 仕事だったか、友人の紹介だったか、何かしらそういう機会があったのだ。 経緯も導入も覚えていないが、 そのなかでふと恋愛についての話題になったとき、彼女はすごく寂しそうな顔をした。 すぐに顔色を変えて話を続けていたが、彼女の言葉とその表情はやけに印象的で、今でもはっきり記憶に残っている。
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