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ここまでで気づかれているだろうが、ぼくは人間の普通の家に生まれた「ちょっと変な子」である。 そしてその「変な子」である理由は、ぼくが記憶を持ったまま何度も転生していること。 記憶の引継ぎだの、権力者の家だのというのはそういうことだ。 ただ、生まれた瞬間から記憶の引継ぎが出来るわけじゃ無いから、 今世に生まれてから幾らか時間は経っていて、現在ぼくは五歳。 恐らく、一般的に物心のつく頃といわれるあたりに、起床のタイミングで記憶が引き継がれることになっている。 勿論、ぼくの可愛くないこの口調もそのせいである。 仕方がない、ちょっと前までよぼよぼのおじいちゃんだったのだ。 本当に、軋まない体最高。 とにかく、ぼくは転生し、赤ん坊ライフを純粋に過ごして、前世の記憶を引き継ぎ今に至る。 転生と聞くと、うん百人に一人のラッキーボーイのように思われるかもしれないが、 ぼくにとって転生というのは、もはや何も驚くことではなくなってしまった。 何せ、もうこれが何回目の転生なのかを忘れかけるくらいには転生の数を重ねているのだ。 毎度驚いていては身が持たない。 普通に考えてずいぶんミラクルな話だが、ぼく自身、原理も理由もはっきりとは分からない。 それに、転生し続けるというのは楽しいだけの話ではない。 生まれ変わりを繰り返すということはそれだけ死んでいるわけで、 どれだけ若い身体で生きていても「ぼくは何回死ねばいいんだろう」と日々不安になる。 どんな死に方であれ、死というのは気持ちいいものじゃないし、慣れないものなのだ。

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