どうしようもなく恋は咲く
2-15
『最後までがんばる』という言葉を、暁翔は胸中で噛みしめた。俺もがんばろう、と素直に思える。雅と一緒に、前へ進もうと。 「テレビには雅が仕込んだ料理が映るんだろ? 誰も気づかなくても、俺は見てるよ。応援してるからな。それで終わったらこの家で、二人で打ち上げしよう」 雅の目許が赤くなった。 「ほんとに? 打ち上げをしてもらえるなんて嬉しい。ほんとに、ありがとね」 雅は布団を頭から被り、背中を丸めた。 鼻をすする音が聞こえたので、暁翔は何も言わず、雅の頭を優しく撫でてから眠りについた。 このまま余計なことは考えず、友達でいればいい。 それが平和で健全。 でも……。 友達としか思われていないことに、少なからずショックを受けている自分がいる。 細い体を抱き締めた感触がまだ、腕の中に残っていた。男の体だったけれど、嫌悪感は一切なかった。むしろ、煩悩に支配されそうになった。 胸が重苦しい。 モヤモヤが深まっていく。
応援コメント
コメントはまだありません