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才ある能とは生まれ持った能力だ。なにも持たず、あるいは自身の持つ能力に気付かぬまま我々人間のほとんどが生涯を終える。 かく言う僕も、その内の一人だ。 僕は才能がない。夢や願い、理想とする自分の姿があるのに、残念なことだが才能には恵まれなかった。 ──それ故に、僕は平凡だ。 人一倍、勉強ができる訳じゃない。運動も普通。下手をしたら平凡以下だ。得意としている事もなければ、友人と呼べるのも二人しかいない。そう、僕は少しだけ人よりもひねくれた、なんの才能も持たない小説家でしかないのだ。 しかし、才能がない。それは夢を諦める理由にはならない。才能とは、あくまで個々の能力値に過ぎず、例えるならゲームのステータス画面なのだ。才能は基礎能力に部類し、最大値に影響する。その程度のものに過ぎないと僕は考える。つまり、才能を正しく磨けば能力値を上げる事ができる。という話である。 つまるところ、苦手分野もステータスで例えてしまえばマイナス値だったものをプラマイゼロ、プラスと上げていく事が可能であるということだ。 とはいえ、それ相応の努力を要するのは言うまでもなく、頑張るというのが嫌いな僕にはやはり。才能を開花させる事も才能を磨くことも不可能に近い。 『才能ない小説家』自分をそう定義するのは間違っていないだろう。 誰がなんと言おうと、それだけは覆らない。そう信じて疑わなかった。でも少しだけ、ほんの少しだけ、彼女と会って、僕の人生は変わった気がするのだ。 別段、彼女と仲が良かったわけではない。互いの連絡先を知り得ていたわけではないし、プライベートで会う約束をした関係でもない。 僕と彼女の関係は『クラスメイト』ただ、それだけなのだ。 それだけの存在でしかない彼女に、僕の人生は変えられた。些細な、小さな変化に過ぎないそれは、彼女の存在が無くとも、いずれは辿り着く場所であったのかもしれない。けれど僕は、そんな彼女に感謝しているのだ。 大人になった今も──感謝しているのだ。

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