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 「怖がらないでくれ、決してお前を傷つけはしない」  悲しげな溜息を漏らしながらも、声は優しかった。キートはおずおずと手を伸ばし、張りつめた 彼自身に触れてみる。自分にないそれが、たまらなく羨ましくもあり、恐ろしくもあった。  爪の先で、くすぐるように亀頭を触られたラザールは、ついに抑えられない衝動に負け、素早くキートを 抱え込むと、後孔に欲望の滾りを突き立てた。キートの唇から、くぐもった悲鳴が漏れる。  ラザールは己の先端に細かな襞の震えを感じながら、徐々にキートの内奥へと沈み込んでいった。最初に 秘蕾を拡げるのに少し苦労したが、先端部分を埋め込み、一旦開かせてやると、あとはスムースに挿入った。  ゆっくりと道を開き、抜き差しの度合いを深めながら、キートの肛肉を抉っていく。硬直を奥まで埋めて、 大きく退くと、また深いところまで押し進める。キートの内部は温かく、濡れた真綿のようにラザールを 締め上げた。 「ああ……キート、お前はとてもいい」 「ひっ…あぁ、ラ…ラザール、入ってる…奥まで……俺の、中に」  キートの舌足らずな声に、ラザールの性欲が一気に加速した。途端に腰を激しく前後に動かされ、キートの 脳天に貫通の痛みが穿たれる。キートは声を我慢したりしなかった。たぶん、薬のおかげだろう。とっくに タガが外れていた。迸る悲鳴を上げ、息を吐き出したあとは楽になり、痛みが嘘のように引くと、痺れるような 快感が四肢を走り抜けていった。  前立腺を突き上げるズシンとした重みに、キートは甘い疼きを感じ、シーツを鷲掴みながら嗚咽を漏らす。 「あっ…ああぁっ、ラザールッ、こ…れ、何だ? ああッ、も……ぅッ…!!」  キートの身体が大きく悶えはじめ、下半身が痙攣してきた。それに力を得たように、ラザールはさらに激しく 腰を打ち込んだ。肉音も高く、容赦なくキートを揺さぶりたてる。キートが伸びをする猫のように背中を グンと撓め、嬌声を放つのと同時にラザールは射精した。  灼熱の放出が、キートの直腸粘膜を撃ちつける。注ぎ込まれる熱い精液を搾り取らんばかりに、キートの そこは淫らにヒクついた。 「キート、ああ…俺の―――」    ラザールの感極まった声が、途中で途切れた。   ―――俺の……? 俺は……? 俺は、あなたの何なんだ? 「あ、ラザール、俺は……あなたの……あなたの女になったのか……?」  どこからそんな下卑た発想が出てきたのだろう…… 快楽に痺れた頭で、キートは馬鹿なことを言ったと 思った。 「まさか―――」 ラザールは当惑したような声を出し、続いて口の端で笑った。 「……もっとも、お前が女だったら、どんな手段を使ってでも妊娠させたいがな―――」  軽い口調ではあったが、声音には真剣さが混じっていた。それが、どういう意味か問いただす間もなく、 ラザールは腰を前に押し出し、股間を激しく打ち付けてきた。たちまちキートは皮膚を硬直させて昇り詰め、 痙攣を起こし、ラザールも一緒に絶頂に達した。  ラザールは怒涛のような快感に一度も抜かず、たて続けにキートの中に放出した。  ようやく本懐を遂げたのだ。  ―――夜は長く、まだまだいけそうだった。

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