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  「どうした? キート、まだ終わっていないぞ」 「あぁ……ラザール、少し、休ませてくれないか?」  キートは汗を浮かべ、肩で息をしながら言う。まだラザールのそれが根元まで入っていた。 腹の奥が苦しく、喘ぎが涙声になる。それでも、ラザールは手でキートの尻を掴み、身体を 反らせながら、容赦なく己を押し付けてくる。 「そう言いながら、まだまだ締め付けてくれるじゃないか……お前の中はたまらなく気持ちいい」  快感に酔い痴れた表情を浮かべながら、ラザールが言った。  密着した腰を軽く揺らすと、締まったソコに雁首が刺激されて、ラザールの身の内に電流が走る。 キートの内奥で、硬い楔が……はやばやと復活を遂げた。 「あ…嘘…だろう? また……」  繋がったまま正常位の姿勢になり、キートの脚を上に跳ね上げさせると、ラザールはまた動き出した。 休みなく突かれる快感に、キートは何も考えられなくなる。もうずっとイキっぱなしの状態だった。 「お前も一緒に動いてくれ……」 「ああっ…あ…っ、くっぅ…!」  キートは、身体を前に傾けるラザールの両肩に手を突いて一緒に動き始める。肉茎を根元まで嵌められ、 前立腺を突き破らんばかりに連打され、肉襞を擦られた。キートは夢中で動きながら、喘ぎ、とうとう 弱音を吐く。 「もっう…だ…めっ、だ…無理っ、くるし……ラザ…ルッ……」  肉の中にみっしりと、硬いものを埋められたキートが、顎をガクガクと揺らしながら訴えるが、その 声はかえってラザールの中の獣を煽るだけだった。 「もっ…もう、あああぁ……!!」 「ああ、くっ…! 俺も……」  宙に跳ね上げられたキートの爪先が硬直し、ビリビリと震えると、ラザールはまたもキートの中に 放出した。  ラザールが歯の隙間から快感の呼気を吐き出すと、キートはちぎれんばかりに首を振り、鋼のように 引き締まった裸身をのたうたせた。ラザールがシーツへと沈み込んでいく背中を掬いあげると、キートは そのまま素直に胸の中に倒れ込んできた。身体中の骨が融けたようにぐったりとして、まるで抜け殻の ようだ。  ラザールはキートの心臓の鼓動に耳をあて、その胸に頬ずりする。  キートは絶息したかのように燃え尽きていた。無理もない。ほとんど経験のないキートを相手に、 ラザールはあまり手加減してやることができなかった。キートの嬌態に我を忘れて溺れてしまい、 歯止めが効かなくなってしまったのだ。  それにしても、薬でぶっ飛んでいたとはいえ、キートがオーガズムを感じることができるのだと 判ったことは、ラザールにとって望外の喜びだった。男性が前立腺の性感を極めることで、射精せずに 得られるという、ドライオーガズムは女性の絶頂をも遥かに上回るというが、おそらくそんな感じ だったのだろう。くたびれ果ててしまうのも無理はなかった。  だが、ラザールもキート同様クタクタだった。早くキートに会いたくて、仕事を終えると休まず その足で帰ってきたのだ。  ラザールがそっとキートの中から己を引き抜くと、とんでもない量の精液が流れ出してきた。それは キートの内腿を伝って、シーツをしとどに濡らしてしまうほどだった。ラザールは意識を失っている キートを抱き上げてシャワールームに運ぶと、ぬるめのお湯で荒い流してやった。  手早く事後処理を済ませ、ベッドに戻ると、すでにシーツは新しいものに交換されていた。 エンティティーが気を利かせたのだろう。今は隠棲しているが、過去には全米屈指のサイコメトリストと して、FBIなどに捜査協力していた女性だ。いや、女性に見えるが男かもしれない。本当のところは 何者なのか、ラザールも知らなかった。  ベッドの上にキートを下ろし、自分も横になると、ラザールはシーツを引き上げて二人の身体を覆った。 「おやすみ……俺のトーチ・リリー」  ラザールは愛しそうに口元を綻ばす。満ち足りた静寂に包まれて、これ以上ないくらい幸せな気分だった。 もはや、キートに過去の記憶があろうとなかろうと関係なかった。ラザールにとって、記憶の中に住む キートと、今、目の前で寝息を立てているキートは同一人物だ。  ―――違うところもある。だが、同じだ。同じ魂を感じる。  彼の持つ魂を、全身全霊で愛していた。  ラザールの脳裏に過去の幻影が去来する。  キートの寝顔に、かつて愛した者の面影を見出し、懐かしむ。  ラザールの指先を頬に感じたキートが、うっすらと目を開けた。眠気でぼんやりしていたが、自分を 見つめるラザールの瞳に、何かがおかしいと感じていた。  ……さきほど、確かにトーチ・リリーと呼ばれた。  だが、自分はトーチ・リリーではない。  「……遠い目をしているな。あなたは…何を見ているんだ……?」 「キート?」  ―――いったい、誰を愛しているんだ……?  そのまま目を閉じると、キートは深い眠りに落ちていった。    

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