作品に栞をはさむには、
ログイン または 会員登録 をする必要があります。

 この世には莫大な財宝が眠っていると言われる。  有名なところでは、徳川埋蔵金やキャプテン・キッドの財宝、テンプル騎士団の財宝など、その存在の確からしさはさておき、大なり小なりの噂だけであれば枚挙にいとまがない。  だがしかし、それを発見した奴は過去に一人たりとも存在しない。だからこその埋もれた宝、埋蔵金というやつではあるのだが。  俺は、世界の財宝や埋蔵金、もしくは、遺跡やオーパーツと言われる過去の遺産などを探し当てることを生業にしている。いわゆる「トレジャーハンター」というやつだ。  「トレジャーハンティング」でどうやって金を稼いでいるかって?  あぁ、大半の常識人の人たちのご認識の通りだ。金にはならない。  もちろん、超一流のハンターにはパトロンがついており、そこから資金を融通してもらっている奴もいる。奴もいるが、超一流と言われるだけに、超極少数の人間のみだ。もしくは、胡散臭い詐欺まがいの手口で金を引っ張ってくる輩も残念ながら一定数存在する。  だが、もっと残念なことに俺にパトロンはいない。元来根が正直な俺は詐欺などに手を染めることもできない。  だから、普段は探偵とコンビニにアルバイトの掛け持ちで日銭を稼いでいる次第だ。そのうちどちらの取り分が多いかって?  そんな野暮なことを聞くもんじゃねぇよ、お嬢ちゃん。  さて、そんな下っ端トレジャーハンターな俺だが、ひょんなことからコンビニ稼業で手に入れた情報を元に、遂に「その人にとっての財宝の在り処がわかるという地図」を手に入れたのだ。  コンビニには多数の人物が訪れる。それも新宿のちょっと裏の入り口に近い場所ともなると、それなりの情報がゴロついているものだ。コンビニバイト様々だ。  そこで入手した情報から真偽の程を嗅ぎ当て、トレジャーハンティングに向かった俺は、今まさにトレジャーに近づく為の重要アイテムである「宝の地図」を見つけることに成功した。  「その人にとっての財宝の在り処がわかる」という触れ込みの地図。「その人にとっての財宝の在り処がわかるという地図」という未来デパートでアイテムを揃える青ダヌキよろしくなんとも都合の良い宝の地図。  その青ダヌキ的地図が示してくれるであろう俺にとっての財宝とは、紛うことなく金目のものに違いない。金がなければ生きていくことが難しいのが現代の資本主義社会というものだ。  この青ダヌキ的地図がまさか日本の東京の練馬区の閑静な住宅街の路地裏にあるとは、皮肉なのかあるべくしてということなのかなんとも判別がつきにくい状況だ。ただし、そんな近場だったからこそ、金のない俺ですら辿り着けたということではあるのだが。  さてさて、と俺は希望に胸を躍らせながら宝の地図を覗き込む。  そこで、はて、と考える。これは一体どういうことだ。  地図によると、宝があるという場所は、まさに俺が今立っているこの場所ではないか。この場所にさらに財宝が眠っているということか。なんとご都合主義な展開なんだ。しかし、それはそれで移動のための電車賃をかける必要がなく、なんともありがたい。  そこに一発の銃声が響く。  そして、その地図に載っていた財宝の在り処が、フッと消える。

応援コメント
0 / 500

コメントはまだありません