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「……すまんな……」 ぽつり。と零された言葉に、俺は慌てて振り返る。 「なっ、なんでお前が謝るんだよっ!」 「いや……見るに耐えない、顔だったか、と……」 力なく苦笑を浮かべようとするルスが、うまくできずに目を伏せる。 「違うって! そんなわけねーだろ!? 逆だよっ!!」 ルスにそんな事を思わせてしまったなんて。俺は信じられない思いで、ルスの頬に手を伸ばす。 「ルスの……こんな色っぽい顔見てたら、俺……我慢できそうになくて……」 俺は感情のままに、ルスの頬に顔を擦り寄せて、その頬に、瞼に、凛々しい眉に口付ける。 「俺、ルスの顔大好きだからな。まだガキだった頃から、ずっと。お前の顔最高に好きだから!」 必死で伝えれば、ルスはどこか泣きそうな顔で俺を見た。 俺はルスの頭を包むように、胸に抱える。 「……だから、もう、そんなこと思うんじゃねーぞ……」 「……ああ。分かった……。レイ、ありがとう」 ルスの言葉は大分くっきりとしてきた。 そろそろ落ち着いてきただろうか。 「ルス、ごめんな……。俺……」 「謝らなくていい。お前も初めてだったんだ。次気を付けてくれれば、それでいい」 「次……」 ルス……、次も、俺に、……付き合ってくれんのか? 胸に湧いた喜びが、じんわりと、熱に変わる。 俺の言葉に、ルスが言い辛そうに、どこか申し訳なさそうに答える。 「いや、次というか……、もう少し、待ってもらえれば……」 ルスはよく見ればまだ時々小さく震えている。 まだ、ナカで感じてんのかな……。 「レイこそ、大丈夫だったのか?」 「あ、ああ。俺は全然……」 そこまで答えかけて、さっき感じた痛みが鮮明に蘇る。 あまりの力強さに、折れるかと思った。 そういや騎士連中の中には、折った奴やら折られた奴がいるとか聞いたことあんな……。 よっぽどムキムキなやつの話だろ、なんて聞き流してたが、ルスもたいがい筋肉質だからなぁ……。 つーか、ルスを抱ける日が来るなんて、ちょっと前まで考えてもなかったし、こんな問題に頭を悩ませる日が来るとは思わなかった。 ……まさか、ルスの内側の筋肉が強すぎて、ルスがイクと俺のが折れられるかも知れないなんてな……。 ごくり。と別の意味で喉が鳴る。 「レイ……?」 不安げなルスの声にハッとする。 「いや、えーと……」 思わず、イキそうになったら言ってくれとか、そんな安易な言葉が浮かぶ。 だってそうだろ? 正直に言ってしまえば、ルスは、危険な事なら止めようとか言い出しそうだ。 ……けど、そんなん後から知ったら、知らされてなかったら、やっぱルスも嫌だよな……。 俺だって、そんなの絶対に嫌だ……。 「どうした? 何でも話してくれ」 ルスは、まだ熱っぽい瞳で、けれど真っ直ぐ俺の目を見て言った。 俺は、悩んだ末に、ルスに全てを話した。 「……なるほど…………」 ルスは俺の話を最後まで聞くと、そう言った。 ……どう思っただろうか。 ルスの身体は大分落ち着いたのか、上半身を少し起こして俺に手を伸ばす。 求められるままに顔を寄せ、ゆっくり口付けられると、何だか酷くホッとした。 俺、いつの間にか緊張してたのか……。 ルスはいつもの温かい手で、俺の頭を撫でながら問う。 「お前は、どうしたいんだ?」 えっ、俺!? 「お、俺は……ルスに入れたい……」 自分の声は、思うよりも弱々しかった。 「たとえ折れてもいいとお前が思えるなら、そうしたらいい」 ルスはさらりと答えた。 「お……折れんのはやだけど……」 「それなら止めておけ」 うっ!! 正論っ!!! 「そもそも、お前はこんな夜中にそれが折れたらどうする気だ?」 「え、えーと……医務室に行く……しかないよなぁ」 「そうだろうな」 騎士団の医務室は、所属騎士なら昼夜を問わずいつでも診察してもらえる。 いつ出るか分からない魔物との戦いに対応するため、医師がいつでも交代で常駐しているからだ。 けれど、そこにかかると言う事は、俺がモノを折ったという話は間違いなく騎士連中に広まることになるだろう。 そうなれば、俺だけじゃない、ルスだって恥ずかしい思いをするだろう。 俺達の事を知ってる奴も、騎士団にはまあ、ポツポツは居る。 「ううううう……」 想像した現実が厳しすぎて、俺は胃を押さえて呻いた。 そんな俺に、ルスが温かい声で、静かに言う。 「お前がそれを覚悟した上で、それでもと言うなら、俺も共に覚悟しよう」 ………………マジか? お前。それってあれだろ……? 俺がしたいって言ったら、俺のために笑い者になる覚悟までしてくれるって、言ってんだよな……? あああああ、男前ぇぇぇ……。 あー……やばい、嬉しすぎて泣ける。 でもルスの清く正しい経歴に、俺のこんな我儘で汚点は残したくないよな。 あああ……でも、ルスには入れたい……。 「……っ、ルス……」 縋るように見つめれば、ルスはにっこり笑って言った。 「俺が思うに、折れれば相当痛いぞ?」 うぐっっ!! 想像した痛みに、俺の物がしなしなと力を失ってゆく。 ルスはクスクスと小さく笑う。 ルスのあったかい手が、俺の頭から、肩を下りて背を撫でてゆく。 腰まで下がってきた手にぐいと腰を寄せられて、俺はようやく気付く。 ルスのそれが、まだ力強く立ち上がっている事に。 ルスが、まだ俺を寝かすつもりがない事に。

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