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俺が両手をルスのズボンに伸ばせば、ルスは自分から服を脱いだ。 「お前も脱げ」と言われて、俺はまた「ムードってもんがあんだろ……」と呟く。 「ふむ……。だが、お前はそんなもの無くても、十分感じてるんじゃないか?」 ルスは、からかう風でもなく真面目にそう言った。 うぐ、……その通りだよ……。 お互いの物を至近距離で互いに擦り合えば、自然とそれらは触れ合った。 あ、そういやこんなやり方あるよな。確か……。 と俺が考える間に、ルスが俺のと自分のを二本纏めて握った。 「どうせなら一緒に擦れば、一緒に気持ちよくなるんじゃないか?」 あー、うん。まあそうなんだが、なんかその発想の仕方、合理的だなー……。 と、思った次の瞬間には、熱いルスの物と共に擦られた。 うぁ、何だ、これ、ちょっと……。 ぬち、と音を立てて、互いの先走りが混ざり合う。 姿勢の位置が違うのか、長さが違うのか、ちょうど俺の物のくびれにルスの先端が引っかかって、擦られるたびに行き来する。 熱い手の中に包まれ扱かれて、ルスの硬い感触が直に伝わる。 っ、思ったより、気持ち、いいな……。 「はぁ……」と熱を逃すように熱い息を吐くと、ルスの精悍な太い眉がぐ。と寄せられた。 あ、感じてんだ。 俺のと一緒に擦られて、俺と一緒に、感じてんだ……。 ごくりと、喉が鳴る。 なんか、腰振りたくなってくるなこれ……。 ルスのペースで扱かれて、思い通りにならないもどかしさを感じつつも、頭の隅では、ルスが一人でしてる時って、こんな感じなのかな……と私生活を覗いているような僅かな背徳感を感じる。 もどかしさから零れる俺の雫が、ルスの手を徐々に濡らしてゆく。 ルスの、分厚くてあったかい手が、いつも力強く剣を振るあの手が、俺ので汚れて、ぬらぬらと光っている。 その手で俺のものが扱かれている。ルスのと一緒に。 優しく、どこか大事そうに。 ルスの息が、ほんの少しだけ上がっている。 小さな水音が、グチュグチュと静かな部屋に響く。 同じペースで動いていたルスの手が、僅かに乱れた。 「っ、イって、いいか……?」 ルスの声は、少し掠れていて、色っぽい。 「ん、いーよ……、……つか、俺も、イキそ……」 こういうのって、一緒にイけるもんかな。 よっぽど同じように気持ちよくなんねーと無理だよな。 ああでも、俺……、ルスと一緒にイきてぇな……。 頭がぼうっとして、でもじんじんと快感だけが上がってくる。 ルスに擦られてるとこの感覚だけが、やたら鮮明で……。 ルスからは、汗の匂いに混じって、革と金属の臭いがする。 足が立たなくても、甲冑着せられてんのかな。簡易甲冑かな……。 ルスの簡易甲冑姿とか、もうずっと見てねぇな。 旅人風で、ちょっと野生的に見えて、結構似合うんだよな……。 不意に、速度が上がる。 ゆるゆると与えられていた快感が、一気に倍増する。 「……ぅぁ……」 思わず小さく声が漏れる。 ちょ、ま……っ、俺のが、先に、イきそ……っっっ。 必死で堪える俺のすぐ近くで、ルスの低い声が、短く吐き出された。 「イクぞ……っ」 それは号令のようで。まるで、お前もイけと言われた気がして。 その言葉に促されるように、俺の下腹部に急激に熱が集まる。 ずくん。とルスのものが小さく震えると、俺のも同じように脈打った。 「くっ……」 ルスが喉の奥を鳴らすようにして声を漏らす。 俺も、息と共に小さく声を吐き出した。 「ぅ……ぁあ……っ」 ルスの手の内で、びゅくびゅくと精を吐く二本のそれを、ルスはゆっくり撫でさする。 じわりとルスの口元が緩む。 よく頑張ったな。とでも言うような視線で、どこか甘やかすように、ルスはそれが力を失うまで、そっと撫でていた。 「あー……。思ったより、良かったな……」 俺が感想を口にすると、ルスはどこか不敵に、男前に微笑んだ。 「そりゃよかった」 ん? 待てよ。俺が気持ちよくしてもらってどうすんだ? 焦りを浮かべた俺を、ルスが楽しそうに見る。 ルスは手早く体を拭いて、身支度を整えていた。 「俺も、悪くなかったな。お前が俺の手で感じて、どんな顔をするのか、よく分かった」 「……は……?」 俺は言葉を失う。 え……お、お前……、俺の顔見てたの、か……? ん? 俺は……? そっか、ルスの手から、目が離せなくて……。 カチャ、とベルトを通す音がして、俺はハッと顔を上げる。 「帰るのか?」 ルスは立ち上がると、俺を見て苦笑した。 「すまんが、俺にも家で済ませたい用がある」 「用って……どんな用だよ……」 口を尖らせた俺に、ルスがほんの少し呆れた顔で笑う。 「拗ねるな。洗濯やゴミ出しだ。ほら、今東の森に討伐隊が出ているだろう。緊急の要請がないとも限らん」 「東の森なら、たいして強いのは出ないだろ」 「何事にも備えておくのが騎士の務めだろう?」 ちぇ……ルス、今夜は帰っちまうのか……。 俺が名残惜しく見上げていると、ルスは諦めたようにため息をついて苦笑する。 「……そうだな。近いうちに引っ越すとするか」 「引っ越し?」 「俺がお前のとこに行くでも、逆でもいい。お前はどうしたい?」 「!!」 つまり、一緒に暮らそうって、言ってくれてんのか、これ!? 「お、俺は、えっと……!」 慌てる俺に、ルスはコツコツと杖を付いて寝室を出ながら優しく笑って言う。 「まあ明日の間にゆっくり考えておいてくれ。明日の朝食と昼までは買ってあるからな。夜にはまた何か買ってこよう。食べたいものはあるか?」 ルスがテーブルの上の紙袋を指す。後ろをついてきた俺は、ここらの食べ物屋を思い浮かべながら答えた。 「んー。そうだな。ミートパイ食いてーな。あの角の店の」 「分かった。買ってきてやるから、明日も一日大人しくしておけ」 明日の三番隊の予定は……と、切り出され、仕事の話を二、三確認すると、ルスが尋ねた。 「薬は一人で塗れそうか?」 そういや、今日は昼も夜もルスが塗ってくれたんだったな……。 「俺、身体柔らかいから、余裕余裕」 言って両手を背中で組んで見せると、ルスが笑った。 「そうか。なら良かった」 俺に優しく口付けて、よく休むように言い含めて、ルスは帰って行った。 急に一人に戻った部屋は妙にガランとして寂しかったが、唇にはまだ柔らかな感触が、テーブルの上には明るい黄色と静かな青の花束があった。 「……ま、花でも眺めながら待つとすっかな」 明日も、俺のところに、ルスが戻ってくる。 そう思うだけで、俺の心は小さく弾んだ。 ――けれど、翌日も、その翌日も、ルスは戻って来なかった。

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