儚く吐かない
吐けなかった言葉

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「壮大に馬鹿すぎる!なに正義感かざしてんだよ、良い子ぶってるから死ぬんだよ! どのみち長生きできるわけねえわ、死んで当然だわ!あんなの!それこそ清々した!」  鈴木が誰にともなく喫煙所で煙ではなく暴言を吐きまくった。 「鈴木!おまえそれ本気で言ってるんじゃないよな!」 「佐藤、やめろ」  鈴木に掴みかかろうとした俺を、高橋が強い力を込めて俺の腕をつかんで止めた。 「馬鹿は生き残れないんだよ、それが社会だ、無駄死になんてしねえよ、俺は、生きる」  鈴木がそう言って立ち去っていった。 「なんだよ、なんなんだよあいつ!」 「佐藤、おまえ......本当に気づいてないのか?」 「なんだよ?おしえてくれよ高橋、俺はおまえみたいに察する能力ないんだよ!」 「みてみろよ」  高橋が地面へと目を向けたので俺もみた。  そこには、鈴木がいつも吸っているタバコが火を点けないままで落ちていた。 「グシャグシャになってる。手の中で握りつぶしたんだよ......。 あいつ言ってたじゃないか、愚痴も不満も怒りも煙草を吸って煙にして吐き出すって。 でも吸わなかった。鈴木は、悲しみを吐き出す術を知らなくて......それで悪態をつきながら 心では泣いていたんじゃないかな」  そう高橋に言われたら、なんだか納得できた......気がした。 「そうか、そうかもな、流す心の涙で煙草が濡れて......火が点かなかったのかもな」  俺がそう言うと、高橋が......目に見える涙を流していた。 俺の持つ煙草もまた泣きながらで指が震えた。  

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