わが抗争
ノンフィクション・批評 全14話 完結済み 第1回ステキブンゲイ大賞応募作
ナチス・ドイツがポーランドに侵攻して一九三九年は九月に勃発した第二次世界大戦。ナチスは戦争によって領土拡大(生存圏の拡張)する第三帝国思想に基づき、欧州の各国を次々と陥落させるとともに、一方で優性思想と選民思想を掲げて、アーリア人至上主義を達成するため、ドイツ国家の国民にそぐわない人民を排除する、所謂、大量虐殺(ホロコースト)を敢行する。特にユダヤ人はその最たる標的として、大量のユダヤ人がアウシュヴィッツ=ヴィルケナウと呼ばれる絶滅収容所(絶滅収容所自体は多数存在する)に送り込まれ、そこで虫けらのように殺されていった(実際にはユダヤ人だけでなく、ポーランド人やノルウェー人やベルギー人、ロマ族の人々、さらには精神的・身体的不具者から浮浪者や同性愛者まで、処刑対象は多岐に渡っている)。  そんなナチスの非道の行為が進行していく中の一九四一年の八月。アウシュヴィッツで一つの事件が起こる。収容所から脱走者が出たのだ。そのようにアウシュヴィッツ内で脱走者が出た事態が起こると、その脱出者のいた班の連中が連帯責任をとるために、監獄の一室の中に十人が選ばれ閉じ込められて、餓死刑に処せられる、という拷問が発生する。選ばれる犠牲者はランダム。選ばれた者は確実かつ苦悶必至の死が待っているだけ。選ばれた人々は悲嘆に暮れる。特にその中でも選ばれてしまった元・ポーランド兵士は、残した家族を想い絶望のどん底に落ち込み泣き叫んでいた。  だが、その時一人の神父が前に出る。この人の代わりに私が餓死刑を受けましょう、と。彼の名はマキシミリアノ=コルベ。ポーランド人のカトリック司祭だった。

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