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 門の反対側では後輩の北方さんが「あー!」とムサシ君獲得競争に出遅れたことへの抗議の大声を上げていたみたいだったけど、もちろん私はそれを無視した。 「小杉君……」  私がそこまで言いかけると、稲葉や他のサッカー部の連中は「先に行ってるぞ」と歩いて行った。  良かった。それでなくてもムサシ君の前では緊張するのに、他の人がいる前なんて、もっと緊張しちゃう。 「どうかしたの?」  ムサシ君は優しくそう言ってくれた。その息づかい、凜とした声。聞けば聞くほど……、ってそうではない、私はお礼を言いたかっただけだ。  そして意を決して、「ムサシ君、この前……」と私が言いかけた。 (続く)

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