re 前世
11 瑠衣さんの抱えていること

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 その時、睦の携帯が鳴る。 画面に『瑠衣』の文字が出ている。 「もしもし‥え?嘘‥病院どこ?俺も行く‥いいよ、待ってて‥」  携帯を切る睦を心配そうに見る未知音と和志。 「瑠衣ちゃん?どうしたの?」 「うん‥何かお母さんが事故にあったみたいで‥あの渋滞がそうだったんだ・・」 「事故?大丈夫?」 「ちょっと病院行ってくる。タクシーの電話番号分かる?」 「うん。あ‥希実に送って貰ったら?」 「ああ‥いいよ、明日仕事あるだろうし‥タクシーで行く」 「分かった。じゃあ‥待ってて」  電話をしている未知音。 「そうですか・・じゃあまた改めます。すみません‥」 「駄目だった?」 「うん、今タクシー全部出ちゃってて三十分くらい待って貰うかもしれないって‥やっぱり希実に送って貰いなよ。早く行ってあげた方がいいよ」 「うん、じゃあそうする」  二階へ上がっていく睦に心配そうな未知音。  助手席に睦を乗せ、希実が運転している。 「大丈夫?こんな時にごめんな‥」 「全然だよ‥瑠衣さんのお母さん大丈夫かな‥心配だね」 「うん‥命に関わるようなケガではないみたいなんだけど‥」 「そうか‥でも心配だろうね‥」 「うん‥お母さんと二人暮らしだからね‥」 「そうなんだ‥」  沈黙が流れる。 「でも希実もショックだったでしょ・・今日‥」 「うん、ショックだった‥でも私が受けたショックなんて、睦に比べれば小さなことなんだろうし‥何か二十歳の頃の睦に申し訳ないみたいで‥」 「いや、どっちが大きいかなんて関係ないよ。ショックはショックだから‥普通に思ってくれていいよ」 「うん‥そっか‥うん、驚いた‥」 「ごめん‥」 「何で?違うよ・・何か三人の思いを感じたし‥何か有難く思った‥」 「ああ‥そっか・・そういえば俺も似た感じだったかもな‥」 「ほんと?だって二十歳だったんだよね・・」 「うん‥すっごい衝撃的なことだったけど、考えてみればそれだけ自分が他の人の子供だなんて少しも考えもさせないくらい親子だったんだなって思うと、有り難くて‥これまでとすごく違うようにも思ったけど、何も変わらないようにも思った‥」 「‥」  何と答えたらいいのか分からない希実。 「分からんね‥俺、まだ咀嚼出来てないのかもしれないな‥」  緊急病院が見えて来る。 「あ、あの病院かな?」 ロータリーに車を止める希実。 「瑠衣さんのお母さん、大事ないといいね」 「うん‥ありがとうね、希実も気を付けて」  睦、車を降り急いで病院へ入っていく。  病院の廊下をはやる脚で歩いて行く睦。 「3階って言ってたっけ‥」  『本荘恵美子』のプレートを見つけ、ドアを開けて中へ入っていく。  お母さんが寝ているベッド脇に座っている瑠衣、睦に気付く。 「大丈夫?」 「車にぶつかって転んだ拍子に右腕と右足を骨折したみたいで・・2ヶ月くらいで全治するだろうって。車の人が咄嗟にハンドルを切ってくれて衝撃がその分弱くなったから良かったって言われた‥」 「そうか、良かった‥相手の人は?」 「ガードレールにぶつかって車の前方は結構潰れて、でもエアバッグが作動して軽症で済んだって‥」 「そうなんだ‥大変だったね‥瑠衣も大丈夫?」 「うん。ごめんね‥あ、睦のとこも今日希実ちゃんに話すんだったよね?大丈夫だった?」 「ああ、うん、大丈夫。何か希実に逆に気を使われた」 「そっか‥そんな時にごめんね‥」 「そんなこと気にしないでよ。それより‥お母さんどうしたの?鍵開けて出て行ったってこと?」 「分からないんだけど、多分‥実は最近症状が進んでて‥」 「そうなんだ‥」 「お母さんがベッドで眠ってたからその間に急いでお風呂に入ったんだけど、上がって見に行ったらいなくなってて‥慌てて外に探しに出たの。そしたら女の人が道に飛び出して車にぶつかったって誰かが話してて、人だかりの中にお母さんが倒れてて‥」 「‥うん」 「二重ロックしたと思ったんだけど、し忘れたのかな‥」 「どうだろう‥それか自分で開けて出たのか‥分からないね‥」 「うん‥」 「でも仕方ないよ。瑠衣のせいじゃないよ」 「‥念の為もう一つ、ロック増やした方がいいのかな‥」 「そうだな‥何か切ないな‥」 「うん‥」 「仕事は大丈夫なの?」 「うん。学校に電話して明日はお休みを貰ったの。その後のことはヘルパーさんと相談してみる。病院にも来れるって言って貰えたから、何とかなると思うんだ‥」 「そう‥少し休んだら?俺見てるよ」 「ありがとう。大丈夫」 「‥だけど本当に無事で良かった」 「うん。睦が来てくれてちょっと安心した」 「明日の朝までいるよ」 「長崎行くって言ってたよね?」 「大丈夫。ここで帰る方が気になるし、朝帰れば間に合うから」 「‥ありがとう。ごめんね‥」 「いや‥大変だったね‥」  病室に付き添う瑠衣と睦。

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