作品に栞をはさむには、
ログイン または 会員登録 をする必要があります。

 紙とインクが必要だ。  私はレストランを出て、閉店間際まぎわの文具店に飛び込み、手持ちの万年筆に合うインクと、念のためノートの予備も買った。  それから空室のあったホテルに急いで宿を取り、部屋に着くなり机に向かってノートを開いた。  時計を見ると、夜八時を過ぎている。私の時間はあと十九時間だ。  十九時間もあれば、私は多くのことを書き残せるだろう。どうせ、書くべき記憶も、そう沢山あるわけではないのだ。  ノートを開き、新しいページに私はペン先をおろした。  今日から始まる、私の記憶をたくすノートに、ありったけの想いと出来事をつづるために。 END

応援コメント
0 / 500

コメントはまだありません