喫茶店フォレスタ
『美月と看病』

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きょうちゃん、体温計いる?」 「だいじよう……」  救急箱をあさりながらきょうに声をけると、かのじよは首を横にった。どうやら気分が悪いだけの様子だ。家族のなかでは一番気がく美月は、自然と体調不良のめんどうも見るようになった。  料理をやるようになったのも、はつが熱を出してんだとき「ちょうど家庭科実習でおかゆ作ったから」と進んで作ったからだ。じゅんもサポートしつつ、さけフレークをまぶしたおかゆを出したところ、はつめずらしくぽろぽろ泣いてしまっておどろいたのを、美月はなつかしそうにかえる。その母が言うには、あれはうれきだったらしく、はつが店に復帰した日には夕食がごうになった。 「ばんそうこうとか足りなければ、明日にでも買い物行くけど」 「んー……念のため一箱、お願いして良い?」 「いいよ」 「ちゃんと休んでね」 「ん」  小さいころ、幼心に両親がお店で共働きであることを察していた美月は、「ぼくがしっかりしなきゃ」とそうせんたくをしようとしていた。当然、どうすれば良いか分からずにぐずったり、ゆかがびしゃびしゃになったりと、はつからデコピンを受けた回数も数知れず。  一方で、正直にやりたかったことを言ったおかげで、両親から少しずつやり方を教わっていくことができ、今の特技にもつながっている。 「はい、お水」 「ありがと」  今では、ようすけとの間で「何だかんだぼくらで店を切り盛りしそうだよね」と笑い合っている。それを聞いた、外で色々やりたいというきょうから「任せた」と言われ、「ちょっとくらい手伝ってよ」と苦笑いもした。  気が合う相手である森宮そうからは「じゅんさんみたいな、立ち位置で、はつおばさんみたいな、役割」と評されたときには、なつとくした美月がコーヒーを入れて感謝の言葉に代えた。  何にしたって、得意なことをめられるのは気分が良い。その道に向かってひたむきに進むのがくすのきらしいといえば、そうなのだ。

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