夢が覚める前に
トワイライト

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「なんでこんな物騒なことに立ち会わなけりゃいけないんですか~」 俺がそうぼやくと、 「これも仕事ですよアリス君」 と、捜専係(捜査専門係)のエースである渉さんが厳しく答える。 俺は有栖海斗。東京大学大学院を卒業し、国家公務員試験1類に合格しキャリア官僚として、警視庁に就職。しかし、3年前のある事件がきっかけで、警視庁捜査専門係に出向。今は往年の名刑事、渉さんとバディーを組んでいる。さて、今は、皇居三の丸尚蔵館で起きた、国宝盗難事件の現場にいる。なんでも、今回の事件は、大怪盗ストーンリバーによるものだといわれている。それも、 ~~~~~~~~~~~~~~~~~ 操専の国のアリスさんへ、 私を逮捕できるかな、不思議の国まで追いかけてきておいで。 怪盗ストーンリバー ~~~~~~~~~~~~~~~~~ という手紙が置いてあったからだ。警察の国のアリスとは、俺のことに違いない。それにしてもなんでストーンリバーは、俺の名前を知っているのだろう。 「そろそろ署に帰りますよアリス君」 「わかりました」 パトカーの中で、白髪染めをした渉さんの頭を見て話し始める。 「そういえば渉さん、盗まれたのって狩野永徳の唐獅子図屏風だけでしたよね」 「はい。そうでしたね」 「渉さん、なんか引っ掛かりませんか?」 「どこがですか?」 「ストーンリバーはなんで俺の名前を知っているんですか?」 「そうですねぇ」 「それと、なんで、狩野永徳の唐獅子図屏風だけを盗んだんですかね」 「もしかしたら、それが今回の事件のヒントになるかもしれませんよ。アリス君」 「なんか引っ掛かるな~」 「それはともかくカフェでも生きいますか?」 「いいっすねぇ~」 こんなふうに、パトカーの中では、静まることはない。静まると逆にシンとしてしまって気まずいのだ。世間話でもいいから、話すようにしている。 「早くいきますよ。アリス君」 「はいはいいきます」 こんな感じで、アリスとストーンリバーの戦いが幕を開けた。

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