向日葵みたいに君が好き
《小学二年生》第十五話

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「男の子が手作りお菓子って変じゃない!」 「でも、思い付かないんだろ」 「そうだけどさー、今から買えば間に合うじゃん」 「でもそれが決まってないわけだろー」 「買いに行った先で決めればいいじゃん!」 「……やだ。連れていってあげない」  これは父さんとの会話。  僕を言いくるめたのは母さんではなく父さんだった。  同じ男の父さんがそう言うのならと、妥協した。  父さん曰く、告白する勇気がないんなら、いつものように押せ押せモード、それっぽくすればいいだった。  だからって手作り!  お菓子なんて作ったことない!   母さんが作っているところを「すごいなあ、面白いなあ」と思いながら見ているだけ。  ただの感想であって、自分もやりたいというのではなく、あくまで客観的なもの。  そもそも母さんはどう見ても難しそうな作業を真剣にしていて、出来上がったものもお店で売っているものと変わらない。  父さん曰く、好きすぎて凝ってしまう、スイーツオタクだそうだ。  決まったら、というか決められてしまったら、なにを作るかという話になる。  僕なんかに作れるものなんてあるのだろうか……と不安にしかならないのはもちろん母さんのせい。 「えー、パパだったらなにが嬉しいー?」  にやにやしながら父さんに母さんが聞いている。 「はるちゃーん、にぃにがはるちゃんにお菓子作ってくれるって!」  妹までまで巻き込んで楽しそうだ。  はる子が僕に寄ってきて、きらきらした目を向けている。  嫌な予感しかない。  はる子も手の込んだものしか食べたことないわけで。 「にぃに、ケーキ? なにケーキ? はる子、いちごのタルト食べたい!」  ……はる子はいちごが好きだ。たぶんいちごのものならなんでもいいんだと思う。 「無理!」  と言いながらゆらの好きなものを想い浮かべる。 「にぃにー、いちご! いちご!」  期待しきった目でそう言いつづけるはる子は無視。  「うーん……」必死に考えた。 「ハートはありふれてるから、本命です! ってわかりづらいよねー」  そんな風に母さんが父さんと相談しはじめた。 「チョコにチョコは? 告白っぽくない?」 「パパ、考えが安易すぎ」 「だって、チョコが返ってくるってなかなかなくない? ホワイトデーでお菓子といったら飴かクッキーでしょ、普通」 「……つまんない」 「……それ、ママ基準!」  はる子の期待に困りながら、呆れた。  父さんもだけれど、母さんは輪をかけたとことんマイペースな人間である。

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