向日葵みたいに君が好き
《 小学二年生 》第二話

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 面白おかしくふざけているつもりの僕の大きな声と周りで上がる笑い声に、珍しくゆらが加わってきた。 「つかさくん!」と元気な声で輪に入ってきたゆらに、誰かが尋ねた。 「つかさくんて面白いよね!」  「うん!」と間髪入れずに弾んだ声でゆらが返事をしたから僕は驚いた。  あれ? ゆらちゃんはみんなと話すのが苦手なんじゃなかったっけ? あれれ? すっごい笑顔で笑ってるけど、なんで!  と、僕は再び本題を思い出した。  よう太を見ると、ほら見ろという顔で僕を見ている。けれども一瞬のこと。誰かが「よう太くん、間抜けー」と背中を思いっきりどついた。 「なにすんだよ!」  ませた女の子たちよりも、ませているつもりのよう太の方が弱い。僕は珍しくよう太を揶揄ってみた。 「よう太は女心がわかってないなあ、まったく!」  一瞬、しーんとした。  そうして僕はひどく慌てた。 「え、ええっ? なんで! みんなひどいよ! 笑うところでしょ、今の!」  最初に黙っているのを我慢できなくなったのはゆらだった。ころころころころ笑っている、可笑しそうに。  そんなゆらに誰かが言った。 「ゆらちゃん、楽しいね!」  と、ゆらの笑いが止まった。 「つかさくんって楽しいよね!」  ゆらは縮こまりながら「つかさくんは楽しいの……」と俯いて「み、みんなも……」と消え入りそうな声で言った。  とってもとっても小さな声、聞こえた人と聞こえなかっ人。幸せそうな笑顔になった人、首を傾げた人、揶揄いたくてうずうずしているよう太。 「ほら! ふたりともわかった?」  女の子たちの視線が一斉に僕とよう太を刺した。  「わかんない!」と声を揃えると、やたら偉そうに一番元気な女の子が言った。 「ゆらちゃんが一番楽しい遊びはつかさくんがいることなの!」  ゆらは僕のとなりでなにも言わない。  あとでよう太に揶揄われるんだなと思いながら、「そうなの?」と確認したら、ゆらはえへへと僕にだけ小さく笑ったけれど、どうしてか顔を真っ赤にして慌ててどこかに行ってしまった。 「ね、ねえ。ゆらちゃんはみんなにいじめられているとか無視されているわけじゃないんだよね?」  僕はどうしてもこれを確認したかった。だって結局、ゆらは笑顔でやってきたのに黙り込んで体を固まらせて、最後どこかに行ってしまった。  と、全員がため息をついた。 「つかさ、それはあんまりだよー」  よう太が口を尖らせた。 「おれ、つかさのことは揶揄うけどさ、ゆらちゃんのこと揶揄ったことある?」  まあそれはそうなのだけれど。それはそれでそれもやめてほしい。僕は悪く言われているようであんまり気分がよくない。でも、よう太は楽しそうだから、まだやめてと言えていない。 「わたしたちはどっちもしないもーん!」  大人ぶるよう太や勘違いしていた僕よりも、女の子たちの方がしっかりしていた。  僕には明るくてみんなとは話さないゆらが、僕と一緒にいる時だけ楽しく遊べる。そう思うと優越感というやつに浸ってみたくなり、家に帰って自慢しようと思った。  家に帰って今日のことを自慢げに話すと、母さんがにやにやしている。 「なに! ママ、僕変なこと言ってないでしょ!」  いつも母さんは僕の自慢話を聞くとにやにやするから、ついついムキになってしまう。  面白そうな話を聞いちゃったなあという目と含み笑いと一緒ににやにやして、けれども揶揄ってこないから余計に気になる僕はやたらと言い訳やらなんやらしてしまう。

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