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Compostelectricity~ミラー・ツインのキセキ~
僕がこの世に生を受けた時に生き別れた『ミラー・ツイン』。僕は夢の中で彼の中に入り込んで、彼の生きる『並行世界』を見ることができるし、彼の方も……時折、僕の中に入り込み、この世界を覗き込む。  僕達は各々の生きる並行世界で、各々の抱える課題を解決するように精一杯、力を尽くしてゆく…… 〈並行世界A〉  名門大学のバイオエネルギーメカニカル研究室に所属する僕は、夢の中で入り込んだ『ミラー・ツイン』を通して見る並行世界に影響を受けて、一つの研究に取り組む。その研究とは、堆肥化で発生するエネルギーの電力への変換……そう。『堆肥化発電装置』の開発。  養鶏場でのバイトを通して畜産現場を知り、『ミラー・ツイン』を通して見る並行世界よりヒントを得ながら、僕は徐々に『堆肥化発電装置』の完成に近付いてゆく。  大学卒業後は養鶏場の研究員として活躍する僕は、堆肥化装置より発生する悪臭問題の解決にも着手する……そんな中、ついに養鶏場に『堆肥化発電装置』が設置されることとなったのだ。 〈並行世界B〉  僕の働く養鶏場は、一つの畜産環境問題を抱えていた。それは、堆肥化装置より発生するアンモニアに起因する、悪臭問題。  僕は夢の中で入り込んだ『ミラー・ツイン』を通して見た並行世界でヒントを得て、バイオエネルギーメカニカル研究室で実験を行う。それは、鶏糞に植物油を混合して堆肥化を行うこと。その堆肥化では『窒素の有機化反応』が生じて、アンモニアの発生が抑制されるのだ。  実験に成功して堆肥化装置より発生するアンモニアを抑制することのできた僕は、大学に社会人入学し、さらなる目標……『堆肥化発電装置』の開発に向けて取り組む。養鶏場での勤務経験のある僕は、現場で即、適用可能な『堆肥化発電装置』を卒業までに設計したのだった。  二人の『ミラー・ツイン』は『一人の自分』に、そして『二つの並行世界』は『一つの輝く未来』に『融合』した。  融合した世界で僕は、自らの開発した堆肥化発電装置『ミラー・ツインのキセキ』を全世界に向けて紹介する。それは、このエネルギー界に一石を投じる技術で……僕達『ミラー・ツイン』の『奇跡』的な『軌跡』の物語だったのだ。
いっき
2020/10/31 11:45
SF
完結済み / 全40話