ヒューマンドラマの作品

サクラビルにて
 現代ものの長編小説(13万文字程度)です。大学生が主人公の青春ものです。  充実したキャンパスライフを送りこれからの人生の目的を探る。村石保にとってその探求は大学生なら誰しもが抱くような淡い種類のものとは一線を画していた。何故なら大学四年間を過ごした後には、父が遺した会社の社長に就くことが決まっていたからだった。  生前、異常なまでに厳格だった父。保はその父を慕うどころか、憎みさえしていた。当然父親が遺した会社も毛嫌いしていた。  しかし、父が急逝したとき、まだ高校三年生の保に、母は、後を継いで社長になれ、と強く主張した。そんなことは無理だと保は言うのだが、妙に頑なな母は保に大学の四年間を猶予として与えることだけを認め、保の代わりに社長職に就いた。  時限を切られた保は大学生活の中に何とか充実を見出そうとした。しかし日々の授業は面白くなく、打ち解けて話す友達もできず、愛を語り合う恋人も見つからない。そうこうしている間に2年が過ぎ、同じ毎日の繰り返しに嫌気が差してきていた保の生活が榊原という名の官能小説家と出会うことで突然色づき始めた。
安東 亮
2021/06/20 03:20
ヒューマンドラマ
連載中 / 全20話
アイデンティティは死んでいく
 いじめをきっかけに引きこもりになった今宮戒斗は、家族とも上手くいかず、通院先の主治医にも本音を話せず、孤独に耐える辛い心の内を『カイト』と名乗ってブログで吐き出しながら生きていた。  そんなある日。カイト宛てに『ユウト』と名乗る人物から一件のコメントが届く。  一方のユウトは、自身の願いを叶える為に戒斗とコンタクトを取っていた。ユウトとしてカイトと接触する悠斗だが、彼には大きな秘密があった。  また、戒斗の友人である高遠絵美は、同級生の些細な一言がきっかけで拒食症となり、自傷行為の末に入退院を繰り返していた。家族関係にも悩み、辛い現実から目を背けながら生きる毎日。  そんな彼女は、理想の自分である『幸子』という偽名を使って、ありもしない日常をブログに綴ることで心のバランスを保っていた。  各々が秘密を抱えながらも怠惰に生きる日々。しかし、些細なことがきっかけとなり、三人の秘密が交錯する。  そして、周囲の人間を巻き込みながらそれぞれの秘密と本心が暴かれるとき、人生の再生と希望への道筋が見え始める。  これは、三人の人間が懸命に藻掻き、苦しみながらも手にした、生きた証の一つである。 ※更新日:6月20日(日)20時45分。
天野 星
2021/06/19 11:45
ヒューマンドラマ
連載中 / 全36話
ハッピー・レクイエム
「わたしはかれを殺し、かれはわたしを救う。これより半年後のことだ」  残酷な神は、命を与え、命を奪う――人間などにはできない手腕で。 「いい人生だったよ。初めから知らなかったら惜しむこともなかったのにさ」  19歳女子大生・朝野聖子の神はすでに死んだも同然であった。それは聖子自身にとっても同じく、自らの死も目前かと自覚していた。高校時代、父親が会社帰りの列車内で亡くなり、鉄道会社に巨額の賠償金の支払いを命じられた時もそうだった。  それまで目指していた法曹界に嫌気が差し、理転して合格した工学部でヒトクローンを造り、聖書と異なる現実を神に突きつけようと(もしくはそのことで天の裁きによって絶命することすらも期待し)目論んだ時もそうだった。  恋人の死の間際、うつ状態になってからでさえ(むしろ精神を失調してからの方が強いかもしれないが)、自らの死期が早まることを期待し続けた。  救済などありはしない。機械的に生まれ、機械的に消えるだけの感動も意味もない人生を手際よく終わらせることが唯一、自由意思に基づいた、聖子自らへの保釈だった。 「ハッピー・〇〇〇〇〇」 「          」
煙突
2021/06/17 12:35
ヒューマンドラマ
連載中 / 全72話