遠い昔、人魚と人間は、共存して暮らしていた。しかし、人間が、約束を破り、人魚に絶縁されてしまう──。
そして、人魚の存在は、人間の世界では、伝説となった。
とある海辺の町で、母親の入院代を稼ぐ、兄妹がいた。
莫大な費用に、兄、ヨシュアは昼も夜も働き続け、妹、サマンサは、酒場で男達の相手をしていた。
ある夜、ヨシュアは、海で人魚のマデリーンと出会う。とっさに、妹、サマンサを今の仕事から救う為、そして、母親の入院資金を作る為、マデリーンを捕まえて売ることを思い付く。
兄妹は、マデリーンを捕まえるのだが……。
ヨシュアは、マデリーンの純粋さに心引かれ、売る事に罪悪感を覚える。そして淡い恋心が生まれていった。
それを見抜いたサマンサは、兄のために、あることを実行する。
それぞれが、互いを思い、よかれと動いたことは、すれ違いを呼んでしまう。
人と人魚の小さな恋の行方は?そして、兄のためにと、動いた妹、サマンサの運命は……?
少し切ない、恋のお話。