【なつかしい日本へのレクイエム】
それは遥かに遠い昭和の一族の物語:お正月やお盆には親戚一同が集まり、いとこ同士が遊ぶ。学校の外には田んぼが広がり、春には教室にれんげの香りが運ばれる。当たり前に存在していた世界はゆっくりと変化し、崩壊していった。
それはこの国へのレクイエム:”Requiem aeternam dona eis, Domine”(主よ、永遠の安息を彼らに与えたまえ)で始まる千年の伝統を有する死者のためのミサ曲。多くの天才が自らの死を覗き込むようにして作曲されてきた名曲の数々がこの国の善き人たちへの祈りとなりますように。