#シリアス の作品

爆弾拾いがついた嘘
「私、絶対死ねないんです」  かつて不発弾の爆発事故で従兄を亡くした女子学生、冴島一希。悲壮な覚悟を胸に、一流技術者への弟子入りを志願する。目指すは、不発弾の処理を担う民間業者。命がけの職業であり、女性の前例はない。 「お前をただ働きの使いっ走りに任命する。感謝しろ」  門前払いをくつがえし、無愛想な男のもとで住み込み修業を始める一希。十一年前に従兄の命を奪った「サラナ」の解体にも挑むが……。 「お前が言う『罪』ってのは何のことだ?」  師匠に動揺を見抜かれた一希は、涙ながらに爆発事故の経験を告白。自分のせいで従兄が死んだという罪の意識と、体に負った傷痕は今も消えていない。師匠は一希に責任はないと明言し、厳しくも親身に指導を続ける。  周囲の人々に支えられながら、自分のコンプレックスや偏見とも向き合う一希。徐々に弱みを克服し、人の手を借りる柔軟性も身に付けていく。  二年の修業を経て、師弟の関係はより親密なものへと育っていたが、二人には別れの時が訪れる。  ついに処理士となった一希は、絶体絶命のピンチのさなか、思いがけず師匠と再会。重傷で意識が遠のく中、師匠の出生の秘密と本心を知り……。  二つの血をめぐる硬派な人間ドラマ。師弟の絆と淡い恋。そして、苦い嘘。 【希望的エンドです】 【リアリティ、心理描写、没入感に定評あり】 【小説家になろう、カクヨム、アルファポリスにも掲載しています(別バージョン含む)】 【カバーイメージ作成:あさぎ かな様】
ハッピーレクイエム
「わたしはかれを殺し、かれはわたしを救う。これより半年後のことだ」  19歳女子大生・朝野聖子の神はすでに死んだも同然であった。それは聖子自身にとっても同じく、自らの死も目前だろうと自覚していた。  高校時代、父親が会社帰りの列車内で亡くなり、鉄道会社に巨額の賠償金の支払いを命じられた時もそうだった。  それまで目指していた法曹界に嫌気が差し、理転ののち進学した工学部でヒトクローンを造り、聖書と異なる現実を神に突きつけようと(もしくはそのことで天の裁きによって絶命することすらも期待し)目論んだ時もそうだった。  恋人の死の間際、うつ状態になってからでさえ(むしろ精神を失調してからの方が強いかもしれないが)、自らの死期が早まることを期待し続けた。  救済などありはしない。ただ生まれ、ただ消えるだけの感動も意味もない人生を手際よく終わらせることが唯一、自由意思に基づいた、聖子自身への保釈だった。 『  茫洋とする意識の中、わたしはまた死ぬのだろうと思った。    ――やけにまぶしい。天国なのだろうか。それとも地獄から天国を見上げているだけなのだろうか。そのときわたしは真冬だというのに一糸まとわぬ姿でその空間に浮遊していた。自由落下のさなかであるかもしれない。やがて眠気に見舞われる。   「ハッピー     」 』
アイデンティティは死んでいく
No Image
概要:いじめをきっかけに引きこもりになった今宮戒斗は、家族とも上手くいかず、通院先の主治医にも本音を話せず、孤独に耐える辛い心の内を『カイト』と名乗ってブログで吐き出しながら生きていた。  そんなある日。カイト宛てに『ユウト』と名乗る人物から一件のコメントが届く。  一方のユウトは、自身の願いを叶える為に戒斗とコンタクトを取っていた。ユウトとしてカイトと接触する悠斗だが、彼には大きな秘密があった。  また、戒斗の友人である高遠絵美は、同級生の些細な一言がきっかけで拒食症となり、自傷行為の末に入退院を繰り返していた。家族関係にも悩み、辛い現実から目を背けながら生きる毎日。  そんな彼女は、理想の自分である『幸子』という偽名を使って、ありもしない日常をブログに綴ることで心のバランスを保っていた。  各々が秘密を抱えながらも怠惰に生きる日々。しかし、些細なことがきっかけとなり、三人の秘密が交錯する。  そして、周囲の人間を巻き込みながらそれぞれの秘密と本心が暴かれるとき、人生の再生と希望への道筋が見え始める。  これは、三人の人間が懸命に藻掻き、苦しみながらも手にした、生きた証の一つである。 PR:誰もが普通を求め、普通であることに固執する社会。理不尽、悪意のない一言。些末なことから人は枠組みの外へ弾き出されてしまう。  そして苦悩し、答えを導き出す。たとえそれが間違っていようとも、当事者にとって最善だったとしたら?  この作品は何処にでもあり、誰にでも起こりうる過程と人生を描き、その結末さえも重くのしかかるものだが、登場人物たちの心情と環境と答えの痛みを共有し、自分や周囲の人たちとの関係を見つめるきっかけになる作品です。 キャッチコピー:遅効性の秘密を抱いて生きる。