#ハッピーエンド の作品

二人芝居
 イケメンに生まれ変わりたい。劇団員十七名惨殺事件の犯人『景山幸雄』は処刑間際、そんなことを願った。 死んだはずの景山が目を覚ますと、イケメン俳優『桐山日向』の体に魂が入り込んだ。景山は桐山の体を使って俳優としての人生をやり直すことを計画する。顔だけの大根役者だった桐山は景山の演技力によって実力派俳優として注目されるようになる。  景山が俳優生活を満喫していると、眠っていた桐山の意識が戻る。桐山は景山に自分の体を返すように要求するも拒否される。桐山は景山に一つの条件を出す。それは演技をする時だけ体を貸すこと。俳優生活を送りたかった景山は二つ返事で了承する。  二人の共同生活が始まるも上手くはいかなかった。入れ替わりたい時に都合よく替われず安定しない演技のせいで俳優の仕事は激減した。 景山は桐山に演技を上達させるための特訓をすることを提案するが、桐山は頑なに拒否をする。    しかし、俳優として生き残るため、景山の懸命な説得に折れ、桐山の演技特訓が始まる。  四年後、桐山を大根役者と呼ぶものは誰もいなくなった。桐山はドラマや映画に引っ張りだこの実力派俳優へと成長した。それと引き換えに景山が桐山の体に現れづらくなり始めた。その感覚は狭まっていき、桐山日向の体にいられなくなる。  景山は桐山のスマホに“君を立派な役者にすることが出来て誇りに思う”というメッセージを残す。それを見ながら桐山日向は目に涙を浮かべた。  景山幸雄死後、桐山日向は若手役者育成のため、養成所を開く。そこに景山幸雄と同姓同名のイケメン青年が現れる。桐山日向は景山幸雄の生まれ変わりだと思い、景山幸雄に自分が成長させてもらったように青年を日本一の俳優に育て始める。