――死にそうな人を、死なせないこと。それが、弓削(ゆげ)が日々奔走している仕事だ。
自殺の危険性が高いと判断された人を「対象者」としてマークし、なんらかの策を講じて自殺から遠ざけなくてはならない。ただし、正体や意図をけっして悟られてはいけない。極秘任務だからだ。弓削の前に現れる、それぞれの人生に悩む人々。映画監督志望の若者、不倫に悩むOL、職場に馴染めない中年男性……彼らを救うことは出来るのか。そして自殺を防ぐ仕事は、次第に弓削の心までも蝕んでいく。
※第一回ステキブンゲイ大賞の最終選考通過にともない、「人生の満足度、測ります」から改題、また本文も改稿しました。