#再生 の作品

星の記憶を巡る夜、空から舞い降りてきたのは
 第1回ステキブンゲイ大賞第4次選考通過作品です。よろしくお願いします。  正しいか間違っているかどうかは別として、自分の記憶が自分にとっては真実なのは確かだ。僕の記憶。そして親友だったピエロやアキに関する記憶。僕は取り戻さないといけない。色々なことが捻れてしまった分、僕は記憶を手繰るように十数年前まで遡っていかなければならなかった。僕らの物語が始まったあの頃まで。  大学時代、僕とピエロはアキに恋をしていた。僕らはいつに間にか三人で公園や喫茶店で過ごすようになっていったが、突然、アキは大学を中退し、姿を消してしまった。理由は分からない。もしかしたら、アキには誰にも言えないやむを得ない事情があったのかもしれない。アキとは音信普通のままではあったが、僕とピエロは相変わらず公園や図書館で一緒に過ごしていた。そして、大学を卒業してしばらく経つと、とても悲しい出来事が起きる。  ピエロがこの世からいなくなってしまったのだ。アキへの想いが詰まった不思議なノートを残して。ピエロはきっとただアキに会いたかったんだと思う。  ピエロのノートに導かれるように僕とアキは再会することとなるが、アキはまたどこかに消えてしまったみたいだった。  誰かの想いが誰かの心に刻まれていく。記憶が刻まれていくんだ。きっと、みんな記憶が刻まれる星を持っていて、その淡い星の光によって僕らは繋がっている。そんな気がするんだ。そうだったらいいな。君が元気だったら僕は嬉しいよ。  人との繋がりを通じて成長していく、僕の物語。あなたの物語になれたら嬉しいです。  よろしくお願いします。