さよならとつぶやいて、きみは夏空に消えた ~ほたるび骨董店の内緒話〈夏〉~
きみと出逢ったのは、遠い夏の日――。
東京の会社を辞めて、祖母の古道具屋を継いだ僕のもとを訪ねてきたのは、ちょっと不思議な女の子。
その少女は、僕が祖母の家に預けられていた小学生のころ、一緒に遊んだことのある幼馴染みにそっくりだった。でも、そんなはずはない。十歳のまま時が止まっているのなら、ともかく。
彼女は古い額縁を指さして、その中に入っていたはずの写真を探していると言う。色あせた写真に隠された、少女の哀しい秘密とは……。
なぜか記憶から消えてしまった、十五年前の夏休み。初恋の幼馴染みと同じ名を持つ少女とともに、失われた思い出を探す喪失と再生の物語です。