「人生を例えるなら、アイスクリームかもね」
遅れてやってきた、僕にとっての青春時代。友人から学ぶ絆の形や、謎めいた美少女からの誘い。そこには幼少期に失踪したはずの父の痕跡が――。
昨日、祖母が息を引き取った。
僕は久方ぶりに生まれ故郷に戻ったが、何年も前から続く母との関係性の不和から些細なことで衝突し、勢いで葬儀場を後にする。
忌々しい故郷の街並みを眺めつつ彷徨い歩いた僕は偶然に昔の同級生と再会し、やがて凝り固まっていた心が解れていくのを感じた。
短い夏の間、バトンを繋ぐように人々の縁に触れた僕はやがて”家族”に隠されていた秘密を知ることになる。
これは僕と彼らにとっての、出会いと別れの物語である。