#夫婦 の作品

コーヒーと言い分はストレートで
 田舎の駅外れにひっそり佇む喫茶店。父の急逝で二代目マスターとなった幡野圭介は、駅前にできた県民念願のスター●ックスに客を取られて久しい。店には幼馴染の藤田がタダでコーヒーを飲みに来るのと、朝体操帰りの老人軍団だけ。  そんな矢先、店から父親と客だけではなく、妻の由美子まで家を出て行ってしまった。由美子の家出理由は不明。週末には父親の五周忌が控え、親族の前に一人で向かうわけにいかず大ピンチ。  窮地の圭介の前に、地元で見かけない女性客が来店する。三十前半のさみしげな、色気のある女に思わず妄想を広げながら惹かれてしまう。しかし、圭介が淹れたコーヒーを飲みながら、女はコーヒー同様のブラックな告白をする。 「私、人を殺してきたんです」  翌日以降、毎日来店する女は、ぽつりぽつりと己の事情を語り出す。 「コーヒーおいしいのに、何でお客さんが他に居ないの?」と、幡野の店が少しでも繁盛するように、店を手伝うように。コーヒーを淹れる楽しみを思い出していく圭介は、音信不通の妻、由美子との関係を振り返り始める。そんなある夕方、一人の青年が女を探しにやって来て……。  砂糖なしミルクなしのストレートコーヒーと、それぞれの言い分とは?  ☕